2019年2月22日(金)

タイでものづくり、こだわる理由は? ミネベア社長 貝沼由久氏
従業員・政府と信頼構築

2010/6/27付
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1988年ミネベア入社、取締役法務担当。94年専務。09年から現職。東京都出身。54歳。

1988年ミネベア入社、取締役法務担当。94年専務。09年から現職。東京都出身。54歳。

ミネベアは東南アジアのタイに約30年前に進出、全世界の生産量の5割を担う生産拠点に育て上げた。クーデターなど政情不安が絶えず、中国などに比べ、労働コストでも必ずしも有利ではないタイでなぜ、製品を作り続けるのか。通貨変動や人件費の上昇といったリスクを上回るメリットについて、貝沼由久社長に聞いた。

――今回、バンコクのデモで死傷者は2千人に達した。影響はなかったのか。

「痛ましい事件だったが、バンコク北部に位置している我々の工場は生産も出荷も停滞しなかった。夜間外出禁止令が発令された際も、従業員の通勤用バスなどは通行を許可された。1982年から進出していることもあり、これまで幾度となくクーデターなど政治的混乱に見舞われたが、本当に困ったのは2008年に空港が封鎖されて物流がストップした一度だけだ」

――500億円を投じ、新工場をさらにタイに建設する。なぜタイなのか。

「人材だ。タイは労働力の豊富さ、まじめな国民性に由来する定着率の高さが魅力だ。例えば、製造品番を切り替えるときの生産ラインの調整作業では、勤続期間の長い熟練従業員でなければ効率が上がらない。ミネベアは中国でも全世界の生産量の3割を生産しているが、従業員の定着率が低い。常に新人のトレーニングに時間が割かれてしまう」

「手厚い政府支援も重要だ。たとえクーデターによる政権交代が起こっても、海外からの投資を支援するという政府の姿勢がぶれることはない。進出企業の要望を聞き入れて必要なインフラ整備は惜しまない。また、海外投資の誘致を担当するタイ投資委員会(BOI)という組織に支援窓口が一本化されており、様々な省庁にたらい回しにされることもない」

――それでも中国の労働コストの安さは魅力でなかったか。

「確かに賃金面では、今のところタイの方が中国の工場よりもコスト高だ。しかし、この1、2年のうちに中国の方が高くなるとみている」

――タイへの投資が活発になれば、優秀な人材の奪い合いになるのでは。

「30年近くタイで生産を続け、パイオニアとして実績を積んできた。アジア通貨危機の際も、多くの進出企業が人員整理に踏み込む中、ミネベアはその選択をしなかった。それ以降、従業員の定着率も目に見えて高まっている。親子二代でミネベアに勤務するという従業員も出てきており、信頼関係が深まっていると思う」

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