米原油流出事故の影響は? 新日本石油開発社長 古関信氏に聞く
開発規制強化の動き注視

2010/6/20付
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メキシコ湾の原油流出事故は環境汚染だけでなく、英石油大手BPの経営を揺さぶるなど深刻さを増している。深海油田の開発に対する規制強化を警戒する声も強まる。エネルギー開発、市況への影響をどうみるか。原油・天然ガス生産量国内2位で、メキシコ湾にも権益を持つ新日本石油開発の古関信社長に聞いた。

――メキシコ湾の事故の影響をどうみる。

「2つ懸念している。一つは安全基準の強化による開発コスト増大。もう一つはより直接的な規制強化だ。米政府はメキシコ湾で現在、500フィート(約150メートル)以上の試掘を止めさせた。試掘中だった30本の油井のうち3分の2は生産が近かったと聞いている」

「メキシコ湾だけでなく、ブラジル沖や北海にも同様の規制が広がり、深海開発が停滞すれば数年後に原油取引の需給に影響を与える可能性がある。ただ、現在の原油相場には大きな動きはない。規制動向を見極めている段階だろう」

――米政府は規制強化に突き進むのか。

「事故の前には鉱区の新規開放を発表していた。米国では陸地で新型ガスの生産が増えているとはいえ、メキシコ湾は引き続き原油・天然ガス生産の重要な地域。徹底的に抑えるのは難しいのではないか」

――新日石開発もメキシコ湾に権益を持つ。

「鉱区自体は1500メートルの深海油田で米石油・天然ガス開発大手のアナダルコが手がけ、当社は11%の権益を持つ。日量2万~3万バレルの生産を続けているが、生産を増やす計画を持っており(規制強化の)影響を受けるかもしれない」

――米国ではBP以外の企業の責任を問う声も出ている。

「通常は(油田開発作業を実施・管理する)オペレーターと(権益を持つ)非オペレーター間の契約で事前に責任範囲を決め、オペレーターの過失の有無を含め最終的に負担割合が決まる。契約によっては、過失が見つかっても、パートナーがそれなりの負担をする可能性もある」

――資源開発各社の投資姿勢に影響は出てくるか。

「深海開発は技術、資金面で高い水準が要求される。新たに深海開発への挑戦を考えていた企業の中にはリスクを考え、参入を見送るところもあるだろう。JXグループは3カ年で石油開発全体に3200億円投じる計画を変えない。深海油田についてはメキシコ湾では一定枠を設け、挑戦すべきものがあればやるが、長期的には資産売却などの可能性もゼロではない。ベトナム、、マレーシア、英領北海を優先する」

1969年日本石油(現新日本石油)入社。02年取締役、08年から現職。東京都出身。63歳

聞き手から一言 規模や技術追求の戦略見直す時期

米政府の深海油田開発への規制強化の動きに対し、他地域にも開発コスト上昇の影響が及ぶとの見方が広がる。日本の資源開発にとって、これから本格化するかもしれない規制強化に伴うコスト負担の方が気になるだろう。

石油開発分野では最大手の国際石油開発帝石でさえ原油・天然ガス生産量は国際石油資本(メジャー)上位の約1割。開発コスト上昇は結果として、日本勢に、合併による規模追求や技術を核とした提携戦略などを迫る圧力になるかもしれない。

(加藤貴行)

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