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男子こそ表現力 フィギュアコーチ・長光歌子(上)

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2010/5/26 10:31
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11年前、高橋の才能を確信

代打に立った長光は接してみて、うなった。「動きが柔らかい。体から曲が出てくる感じ」。3回転ジャンプはまだ2種類しか跳べなかったものの、見たことのないセンスがある。楽しくて凝った振り付けになったが、高橋はそれを1週間足らずで滑り切った。その姿に「この子は絶対、世界に出ていく」と感じた。ここから二人三脚が始まる。

長光には「男こそ、踊らないといけない」という信念がある。「バレエでもそうだけど、男の人の方が体力はすごい。だから表現に余裕がある」。トップレベルの男子はジャンプなどの技術力に大差はない、勝敗を分けるのは表現力。ずっと昔からそう思っていた。「男がチャラチャラ踊って、どないすんねん」と関係者に冷やかされても、信念は揺るがなかった。ケガの影響で技術点が安定しない高橋をバンクーバー五輪で救ったのは、その踊り。演技構成点の高さだった。

長光の構想では五輪の採点を待つ「キス&クライ」に、ジャッジへのアピール力を持つ欧米人のコーチもいるはずだった。しかし、高橋が拒絶。ニコライ・モロゾフコーチを離れた後、金妍児(キム・ヨナ)のコーチ、ブライアン・オーサーに付くことを薦めたが、答えはNO。五輪だけでも振付師のパスカーレ・カメレンゴに頼もうとしたが、それもかなわなかった。

「(長光コーチだけでいいと決めたのは)僕の直感。(今回の五輪で)歌子先生はすごいと再認識した」と高橋。そんなまな弟子を長光は「まだ子供だと思っていたら、最近ちょくちょく大人だなあ、と驚かされるのよね」。波長の合う2人によって、フィギュア日本男子初のメダルはもたらされた。

(敬称略)

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