金融政策、緩和的環境を維持 (4月30日会見要旨)
新貸出制度、生産性の向上促す

2010/5/1 4:00
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 本日の金融政策決定会合での議論は。先行きの経済・物価情勢をどう考えているか。

記者会見する白川日銀総裁(30日午後、日銀本店)

 本日の決定会合では、無担保コール翌日物金利を0.1%前後で推移するよう促す方針の維持を全員一致で決定した。

2010年度のわが国の成長率は潜在成長率を上回る水準が見込まれ、11年度にはさらに高まる見通しである。生鮮食品を除く消費者物価の前年比はマクロ的な需給バランスの改善から下落幅が縮小し、11年度中にはプラスの領域に入る可能性が展望できる。

リスク要因を点検すると、景気面では新興国・資源国の経済の強まりなどの一方で、国際金融面での動きなど下振れリスクもある。物価面では資源価格の上昇によって物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などもあると見ている。

以上の点を踏まえ、金融政策運営では、極めて緩和的な金融環境を維持していく方針を堅持することとした。日本銀行は日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとで持続的成長経路に復帰することが極めて重要と認識している。

本日の決定会合では、日本経済の状況を踏まえると成長基盤の強化が必要であり、中央銀行の立場から新たな取り組みを行うことが必要との考え方が共有された。議長から、民間金融機関による自主的な取り組みを資金供給面から支援する方法について検討するよう執行部に指示した。

 民間金融機関の取り組みへの支援について具体的に説明を。

 日本経済の成長力の強化や生産性の向上という課題が、従来以上に強く意識されている。民間金融機関も新たな成長分野や成長事業をビジネスチャンスととらえ、融資活動や経営支援の取り組みを行っている。そうした民間金融機関の取り組みを中央銀行の資金供給機能を生かして支援することができないか検討していく。

対象となる活動や事業には、政府の成長戦略や経済団体の政策提言にもみられる通り、技術革新を促進するような研究開発、科学技術の振興、環境エネルギー事業などがある。成長基盤の強化を支援するという狙いが円滑に実現できるよう、民間金融機関や企業の意見を十分に踏まえ、日本銀行の経験も参考にして検討していきたい。

基本的に、日本銀行が全く行っていない資金供給手段で何か実行するということではない。どういう形で支援ができるか知恵を絞っていきたい。

 いつごろから始めるのか。

 今回は検討の指示を出した。できるだけ早く実行していきたいが、民間金融機関と意見交換を行い、アイデアを練っていく段階が必要である。1~2週間で直ちに回答が出るわけではない。いつからと申し上げることはできない。

成長率の低下という問題が、実はデフレにも大きな影響を与えていると認識している。そのような認識に立った場合に、中央銀行が有する機能を使い、果たし得る貢献がないのかどうかを検討することは必要なことだろう。その際には、日本銀行の目的、日本銀行に許された金融政策上の手段を踏まえた上で検討していくということでなければならない。

成長基盤の強化は、第一義的には民間経済主体が取り組むことであり、基盤という意味では政府が果たす役割が大きい。政府は新たな成長戦略を昨年12月にまとめており、現在はその肉づけ作業を急いでいると認識している。日本銀行もこういうことを行うことで、政府や民間主体の取り組みに弾みを付けたいという思いはある。日本銀行として、日本銀行の持っている機能を使って民間を後押ししたいということだ。

 成長力強化は政府系金融機関でしっかりやればいいのではないか。日銀が出ていくことは理解できない。政府から成長戦略を考えるうえで日銀も何か出してほしいと要望があったのか。

 政府系金融機関もさまざまな取り組みを行っている。ただ政府系金融機関の場合、みずからが当該企業に資金を貸し付けることが業務のベースになる。今回、日本銀行が検討していることは、日銀自身が特別に企業に資金を貸し付けようとするものではない。あくまで民間金融機関の取り組みを支援していくということであり、そこは政府系金融機関とは役割が異なっている。

日本経済の最も本質的な問題が生産性の低下ということにある以上、それに日銀が何らかの貢献をすることは必要なことだ。政府から何か要請があったわけではない。

 展望リポートに公的債務残高のリスクを書き込んだ狙いは。

 リーマン・ショック以降の世界経済の展開を振り返ると、大きな落ち込みの後、公的部門が民間部門の債務あるいはリスクを引き受けている。このことは、さらなる経済の落ち込みを防ぐうえで大変効果があった。しかし、これは民間セクターの債務を公的セクターの債務に置きかえたことになる。経済全体で引き続き大きな債務を抱えており、経済の安定に応じて、公的債務の削減努力もしていかないと、財政バランスの維持について信用を確保できないことになる。

日本は財政バランスが悪く、公的債務残高も非常に多い。世界全体のリスクとしても、日本の公的債務の問題としても、意識する必要があることから、リスク要因として掲げた。

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