新たな文化、万博が生み出す 日本産業館代表兼総合プロデューサー 堺屋太一氏

2010/4/27 4:57 (2010/4/27 4:00更新)
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日本産業館は資本系列や業界団体とは関係なく、異なる業種の企業や自治体が連合して1つのパビリオンを外国の博覧会に出展する。過去に例がなく、韓国産業館や上海産業館なども追随した。「産業館スタイル」という日本発の新しい文化が生まれたことになる。

日本産業館では環境を意識して本物の「リユース」にこだわった。パビリオンは50年以上前にできた工場跡の中に建築足場でつくった。コンパニオンの制服にはポリエステル再生繊維を使った。

日本産業館は未来志向だ。日本といえば伝統文化や匠(たくみ)の技など古い流れを重視していたが、21世紀の新しいJ感覚があふれるものにした。「世界一のトイレ」を設置するなど、社会貢献やサービスを重んじており、出展企業の善意を体感してもらえるはずだ。

初めての形式で出展できたことで、まずは50点。人気館になったら80点で、万博の歴史に残ったら100点をつけたい。

19世紀の万博は「技術と珍品」の博覧会。20世紀前半には「芸術の博覧会」になり、1970年の大阪万博は「人間の博覧会」の頂点だった。上海万博から「第4期」が始まるだろう。都市や生活、環境の問題への前向きな挑戦が求められる。

万博からは新たな流行や文化、産業が生まれ、開催国の衣食住はその後、様変わりするのが常である。大阪万博の開会のころ、男性は背広や学生服ばかりだったが、半年後の閉会近くにはカジュアルウエアが目立った。会場にケンタッキーフライドチキンなどが登場し、日本にファストフードが一気に広まった。上海万博で中国に全く新しい消費生活が生まれることは、日本企業にとっても好機になる。

万博後には、中国の国民貯蓄率は現在の約5割から3割程度まで下がってほしい。中国が輸出と投資を中心とする現在の経済構造から、万博を通じて消費型の経済に円滑に転換していくのか。これが上海万博の経済効果上の注目点だろう。

私は26年前、当時の汪道涵・上海市長に「市の繁栄と中国の発展のために万博を開催しよう」と提案、以来二十余年も計画の立案などに協力した。隣国開催の史上最大規模の国際行事に、ぜひ足を運んでほしい。

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