電子書籍市場への備え急げ

2010/4/5付
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 米アップルが新しい携帯情報端末の「iPad(アイパッド)」を米国で発売した。音楽や映像の視聴に加え、電子書籍端末としても期待が高まっている。今月末には日本でも発売する計画で、出版業界としてもインターネットによる電子出版への迅速な対応が求められている。

 電子書籍端末は米アマゾン・ドット・コムが発売した「キンドル」が先行した。アップルの新製品は高機能携帯電話の「iPhone(アイフォーン)」と同じ技術を使い、ネットから様々なソフトや情報を入手できる。カラー液晶を搭載し、雑誌などの閲覧手段としても使える。

 キンドルの登場により、米国では出版社などがネットによる電子出版に力を入れている。書店大手のバーンズ&ノーブルも独自に端末を開発した。音楽配信で成功したアップルの参入は、出版物のネット配信を大きく促すことになるだろう。

 問題はネット配信に対する日本の出版業界の遅れだ。出版社は中小企業が多く、紙への愛着が強い。音楽業界はCD販売に固執しているうちにネット配信事業をアップルにさらわれてしまった。このまま行けば出版業界も二の舞いとなりかねない。

 出版には言論や表現の自由を守り、民主主義を担うという役割がある。ネットを使えば、世界に向けて情報を発信することができるが、その流通ルートを一部の外国企業が独占してしまうのは困る。

 電子書籍市場を日本で健全に育成するには、ネット配信に必要な共通技術を確立する必要がある。3月に出版社31社が「日本電子書籍出版社協会」を新設したのは評価できる。総務省、文部科学省、経済産業省も合同で懇談会を設けたが、もっと早く取り組むべきだった。

 国立国会図書館の役割も重要だ。米グーグルの書籍検索サービスに対し、同図書館も納本制度に基づく電子保存や、電子納本の仕組み作りを急いでいる。図書館は無償だが、そこで確立した技術を有償のネット配信基盤として使うことも一案だ。

 音楽配信や電子出版は実は日本が先行したが、規格が乱立し普及しなかった。日本としての標準技術を確立したうえで、海外のサービスにも情報提供できるようにすべきだ。

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