2019年9月23日(月)

150万人の株主を持つ第一生命の責任

2010/4/2付
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第一生命保険が相互会社から株式会社に転換し、東京証券取引所に上場した。株主数は約150万人と上場企業では最多で、投資家の関心も強い。成長や利益還元を求める株主の期待にも目を配る経営を通じて、株式市場全体を活性化させる役割を果たしてほしい。

株式会社になり上場するに際して、渡辺光一郎社長は「これまでより大規模なグローバル展開」を視野に入れると語っている。

日本国内は人口の減少で保険市場が縮小している。株式会社化で先行した米欧の生保は、アジアの新興市場で事業の基盤を広げている。海外での企業買収など長期戦略に打って出るには、資本を厚くすることが欠かせない。

生保版の自己資本規制である「支払い余力比率規制」の強化に対応する必要もある。上場を機に公募増資など相互会社の時には不可能だった資本調達の道も開かれる。

そうした戦略を進めるには、何よりも株主の支持を得なければならない。資産の運用を効率化し、リスク管理を徹底する経営が、これまで以上に必要になってくる。生保は事業会社や金融機関の株式を大量に保有している。過去からのしがらみで保有し続けている株式はないのか、を問う市場の圧力も強まろう。

生保には確実に契約者への保険金の支払いを実施する務めがある。保険金の支払い漏れ問題の対応などに万全を期すことは、契約者への責任を果たすうえで欠かせないばかりでなく、株式市場の評価を高めるためにも必要だ。

日本で最も株主が多い第一生命の株価は、株式市場全体の雰囲気に与える影響も大きい。株式を無償で割り当てられた保険契約者のなかには、初めて株式を保有した人も多いだろう。そうした投資家を大切にする経営を通じて、個人投資家のすそ野が広がるようなら、「貯蓄から投資へ」の流れを促すのにも役立つ。

1987年2月に上場したNTTでは、3月決算期末に約70万人の株主が誕生した。折からのバブルも手伝って、多くの個人が株式投資に乗り出すきっかけになった。しかし、その後のバブルの崩壊でそうした投資家は損失を抱え、個人の株式市場離れが起きた。前車の轍(てつ)を踏むことのないようにしたい。

第一生命の経営陣も、株主への責任をかみしめてほしい。上場後は株主配当、契約者配当、内部留保の3つのバランスをとった経営が大切になる。着実な成長戦略を実現しこの課題を果たすべきだろう。

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