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競馬界「西高東低」に一石 JRA調教師・小島茂之(上)

2010/3/24 7:00
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中央競馬では年間22の平地G1競走が行われる。これを茨城・美浦、滋賀・栗東にあるトレーニングセンター内の約220の厩舎が争うが、もう20年以上も栗東の優位が続いている。

開業8年目の厩舎はG1で2勝し一躍注目を集めている

そんな「西高東低」に、一石を投じたのが小島茂之(42、美浦)の厩舎にいた2頭の牝馬だった。2008年秋華賞(京都)のブラックエンブレムと、09年エリザベス女王杯(同)のクィーンスプマンテ。過去2年で美浦の馬がG1を勝ったことが6度しかない中、2つ勝った。開業8年目、通算勝ち星が3ケタに乗ったばかりの厩舎は一躍注目を集めている。

5歳の秋に劇的に変わる

特にクィーンスプマンテは単勝11番人気(77.1倍)での勝利。ウオッカ引退後の競馬界を背負うスターホース、ブエナビスタを破り、ファンを驚かせた。

しかし、小島は「思い描いた通りのレースだった」と振り返る。体質の弱い馬で、疲れると両前脚を開いて歩く癖があったが、5歳(当時)の秋を迎えて「劇的に変わった」という。

一変の裏には、4度にわたる栗東での長期滞在があった。4歳と5歳の年に春秋2回ずつ。阪神や京都でのレースに使う前に、早めに栗東に入り調教を重ねる。栗東には急こう配の坂路コースや、天然の地形を生かした逍遥(しょうよう)馬道があり、これが関西馬の体力強化に貢献しているとの定評があったからだ。

小島が特に重視しているのは逍遥馬道で「ここを歩くと筋肉がつき、歩き方も良くなる」という。クィーンスプマンテは「(栗東に)行くと歩き方が良くなり、(美浦に)帰ると元に戻る」の繰り返し。ただ女王杯の際は馬のピークとうまく重なった。「力のついた今なら攻められる(負荷をかけられる)」とみて従来にない厳しい調教を施し、強敵と戦う態勢を整えた。

クィーンスプマンテは果敢な逃げが武器。問題は似たタイプのテイエムプリキュアとの兼ね合いだった。前哨戦の京都大賞典では2頭で派手な逃げ争いを演じた末、共倒れで9着。だがダッシュ力で勝ることを確認した小島は騎手の田中博康(24)に「つぶれてもいいから逃げろ」と指示を出した。テイエムプリキュアにやや絡まれたものの、後続を引き離す展開に。これでペースが落ち着き、余力十分のクィーンスプマンテは猛追するブエナビスタに1馬身半以上の差をつけ、まんまと逃げ切った。

栗東に出向き調教、G1勝利

美浦の馬が栗東に長期滞在する手法の先駆けは、先輩調教師の国枝栄(54)。G1 6勝の美浦のトップ調教師の一人である国枝は、早くから栗東の坂路の効果に着目、02年秋から取り組みを始めた。また、美浦の施設改善を求めて日本中央競馬会(JRA)にリポートを提出している。

今では多くの美浦厩舎がこの手法を取り入れるようになった。一方で「自ら美浦の価値をおとしめる行為」との冷ややかな見方もあるが、小島はそうは思わない。「今のままでは、いつ勝てるかわからない。上位厩舎だけが生き残ればいいのか。全体の底上げのためにも(美浦の)施設の向上が必要」。言葉は熱を帯びる。

=敬称略

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