「核密約、当時は最良の選択」 ライシャワー元駐日米大使の特別補佐官、パッカード氏
オバマ氏、広島訪問を

2010/3/17付
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鳩山政権の日米密約公開は米国でも大きな反響を呼んだ。核持ち込みを日本が黙認する密約の存在を1981年に公にしたライシャワー元駐日大使の特別補佐官だったパッカード米日財団理事長に当時の事情とオバマ政権の核政策を聞いた。

――密約公開をどう思うか。

「健全なことだ。米国には公文書公開に関する厳格なルールがある。冷戦期の日本では公開による弊害があったかもしれないが、もはや過去の歴史だ」

――密約は必要なものだったか。

「米国は核の傘で日本を守る一方、日本人の核アレルギーも理解していた。米海軍は核の存在を肯定も否定もしない方針だったから日本が事前協議を求めても応じなかったろう。安保闘争を再現させないためには核持ち込みを秘しておくのが当時は最良の選択だった」

――ライシャワー氏はなぜ証言したのか。

「最初は63年に『大平正芳外相と話し合って公にする』と国務省に提案したが、拒否された。歴史家として長く隠し続けるのはよくないと感じていた。死後に密約が明らかになり、うそつきだったと思われるのも嫌がっていた。長い時がたち、日本人が密約を結んだ理由を理解できるようになったとも感じたようだ」

――米政権内で密約はよく知られていたのか。

「国防総省と海軍の高官は知っていた。当時の軍艦は間違いなく核を搭載していたからだ。密約を結んだのはハーター国務長官(59~61年)だが、国務省のほとんどの人は知らなかった。長官と東アジア担当者だけだ」

――父ブッシュ政権が軍艦への核搭載をやめ、核持ち込みに関する密約は意味を失った。

「日米安保体制は今でも有効だが、冷戦が終わったのだから、核搭載をやめたのは当然だ。日本に核を再配備する日が来たら驚きだ」

――核廃絶を目指すオバマ大統領が広島を訪れる可能性はあるか。

「11月の訪日時に訪れるのが賢明かつ勇気ある選択だ。謝罪のためではない。この恐るべき兵器が二度と使われるべきではないと呼びかけるためだ。歴史の地で日米首脳が核不拡散への連携を誓うのは象徴的かつ有意義な行いだ。広島での演説では原爆投下で(戦争が終わり)、日米の多くの人命が救われたことを指摘すればよい」

「鳩山由紀夫首相の真珠湾訪問もよいことだ。謝罪のためではない。あんな攻撃をするような状況を二度と生まないと話せばよい」

――米国は包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准していない。

「するのが米国の国益だ。オバマ大統領は全力を挙げるだろう。上院は与野党対立が激しく批准できるかは分からない」

ジョージ・パッカード氏 政治学者。日米安保の研究でタフツ大で博士号取得。ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)学院長を務めた。77歳。
(ワシントン=大石格)

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