2019年8月21日(水)

iPhone好調のアップル、潜む死角
時価総額最高 ブランド力・販売拡大、競争激化で両立課題

2012/8/22付
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【シリコンバレー=岡田信行】米アップルの株式時価総額が20日、6235億ドル(約49兆5000億円)となり、1999年末の米マイクロソフトを上回って世界の企業で史上最高を記録した。好業績と主力のスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone(アイフォーン)」刷新への期待から買いが膨らんだ。ただ、スマホは普及が進み、価格競争が激しい。販売拡大とブランド力維持の両立がアップルの課題となってきた。

アップルの時価総額を押し上げた立役者は、iPhoneだ。年末商戦を含む2009年10~12月期と11年の同期を比べると、全社売上高は約3倍、純利益は約3.9倍に増えた。iPhoneの売り上げは約4.4倍、全社売上高に占めるiPhoneの比率は36%(09年)から53%(11年)に高まり、その貢献度の大きさがわかる。

韓国サムスン電子との特許訴訟で、iPhoneの利益率の高さも明らかになった。米連邦地裁に提出された資料によると、12年3月末までの2年間のiPhoneの粗利益率は49~58%で、タブレット(多機能携帯端末)「iPad(アイパッド)」は23~32%。iPhoneの利益率はiPadの約2倍だ。

利益率の高いiPhoneの販売急増が、アップルの利益成長と株価上昇を支えてきたことを裏付けているといえるが、その成長エンジンは死角となる可能性もある。

iPhoneの高い利益率は「高くても売れる」ブランド力に支えられている。使い勝手の良さやデザイン力で台数を普及させることを車の一方の車輪とすれば、アプリケーションソフト開発者にとっての魅力を高め、アプリの品ぞろえを拡充し、ユーザーの満足度を高めることはもう一方の車輪だ。

つまり、販売台数の伸びが止まり、アプリ開発者を引き付ける力が弱くなれば、この両輪は機能しない。「高くても売れる」ブランドは、「値下げしないと売れない」ブランドとなるリスクがある。

iPhone4を発表する故スティーブ・ジョブズ氏(2010年7月)=AP

iPhone4を発表する故スティーブ・ジョブズ氏(2010年7月)=AP

例えば、スマホの需要が急増する中国市場。アップルも中国でiPhoneの販売を伸ばしているが、地元のメーカーが次々と格安のスマホを発売。品質も徐々に良くなっており、中国でアップルが大きなシェアを取るのは難しい状況だ。

世界的にみても、メーカー別市場シェアでアップルはサムスンと首位を争い、基本ソフト(OS)別ではサムスンも採用している米グーグルの「アンドロイド」に大きく水をあけられている。

アップルがユーザーのアプリを楽しむ土俵を広げたいと考えれば、iPhoneをさらに普及させることが不可欠。しかし、先進国や新興国で可処分所得の高いユーザーの需要が一巡すれば、新興国や途上国を中心に「アップル製品の価格帯は高すぎる」(関係者)という現実に直面する。

利益成長を犠牲にすることなく、販売台数を伸ばすことが今後も可能なのか。近く発表されるとみられている新型iPhoneが年末商戦でどのくらい売れるかが一つの試金石となる。

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