米韓、遅れた情報把握 危機管理への不安露呈

北朝鮮の最高指導者死去という重大な情報について米国、韓国の政府の動きからは、予兆を事前に察知しきれなかった跡がうかがえる。北朝鮮を巡る情報収集や危機管理への不安を露呈した形で、韓国では情報機関に批判の声があがっている。
北朝鮮専門家の間では、死去の一報を読み上げた朝鮮中央テレビの看板女性アナウンサー、リ・チュンヒさんが10月中旬以降、番組に登場しないなど異変の兆候はあったとの指摘が出ている。だが韓国の対北朝鮮政策を担う統一省は、北朝鮮が「正午に重大な発表を行う」と予告した際も「特に把握していない」とコメント。省内では核問題を巡る6カ国協議に関する発表ではないかとの観測が強かったという。
李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領は17、18両日に来日して野田佳彦首相と会談。「情報網に穴」と題する記事を配信した韓国の聯合ニュースは、毎日午前に大統領向けの説明を行う軍の情報機関も金総書記死去の情報を知らなかったことを挙げ、巨額予算を持つ情報当局が「情報収集能力と危機管理体制を問題視される」と論評した。
日米当局も予兆を察知していた形跡はない。米政府は15、16両日に北京で食糧支援再開へ北朝鮮側と協議。核問題を巡る高官協議も年内の開催準備を加速しており今回の事態を想定していなかったように見える。
藤村修官房長官は「米国から先に知らせがあったわけではなかった。李大統領も何ら情報がなかったようだ」と話した。