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米中、緊張含みの緊密化 首脳会談、異例の8時間

中国の習近平国家主席はオバマ米大統領との2日間にわたる首脳会談を終え、帰国した。国家主席への就任後3カ月に満たない中国トップの訪米で、計8時間に及ぶ長時間会談。異例ずくめの米中接触で習主席は「オバマ大統領と対等にわたりあえる姿」と「緊密な米中関係」の演出に腐心した。

米中国交樹立直後の1979年の中国指導者訪米を活写する有名な写真がある。米国の象徴のカウボーイハットをかぶらされたトウ小平だ。小柄なだけに似合わないが、改革開放に踏み切った直後の貧しい中国は米国にこびを売らざるをえない。トウはその後、爪を隠して内に力を蓄える「韜光養晦(とうこうようかい)」という中国の外交・安全保障の基本政策を打ち出す。正面から米国に対抗しない現実策だった。

だが今、情勢は大きく変化した。中国は韜光養晦を捨て、習主席が首脳会談で延々と説明した「新しいタイプの大国関係」を探っている。米国に中国の軍事・経済的な台頭を認めよ、と迫る対等さに重きがある。

楊潔●(ち)国務委員は、新しい大国関係の中身について「対抗しない」と説明したが、意訳するなら「かつての冷戦時代の米ソのように対抗せず、安全保障上、重要な太平洋の海洋権益を分け合う」となる。そこには中国が重視する西太平洋での中国海軍の行動の自由を求める威圧も含む。

これを端的に表現したのが習主席がオバマ大統領に言い渡した「広く大きな太平洋には米中の両大国を受け入れる十分な空間がある」という言葉だ。習発言からは、中国海軍にとって西太平洋への入り口に位置する尖閣諸島の重要性も見えてくる。当然、オバマ大統領は簡単には乗れない。

習主席は日本、ベトナム、フィリピンなどが絡む尖閣、南シナ海問題で原則的な立場を表明する一方で対話も口にした。突っ込んだやりとりの中でオバマ大統領は双方に自制を促した。

両首脳は北朝鮮問題でも一定の連携をアピール。7月上旬にはワシントンで米中戦略・経済対話が5日間も開かれ、中国外相、国防相が訪米する。中国は米国が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)にも政治的な思惑から参加の可能性まで示唆している。

中国が宣伝する「太平洋をまたぐ米中協力」は一筋縄ではいかない。だが、米中関係は緊張を含みながらも、ますます緊密化するのは間違いない。その始まりが計8時間の「オバマ・習会談」だった。

(パームスプリングズで、中国総局長 中沢克二)

○沖縄県・尖閣諸島問題でオバマ大統領は対話解決を要請。習近平国家主席は領有権を主張
○環太平洋経済連携協定(TPP)の情報提供の枠組みを構築
○北朝鮮の非核化の必要性で一致。圧力強化で合意
○大統領は中国を発信源とするサイバー攻撃の懸念を表明。習主席は米側の懸念を理解。ルール作りで一致
○適切な時期に中国で首脳会談を開催

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