2019年7月22日(月)

中国、物価抑制へ元高手探り
対円でも上昇、原油など輸入価格下げ狙う

2011/3/4付
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【北京=高橋哲史】中国政府が物価の抑制を狙い、人民元相場の上昇を速める時機を探り始めた。原油など国際的な商品が高騰するなか、元高は輸入品の価格を引き下げる効果があるからだ。5日開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、インフレ対策が最大の焦点となる。全人代の後に、当局の容認姿勢を受け元の上昇ピッチが上がるとの観測も浮上している。

中国人民銀行(中央銀行)は2010年6月に人民元の「弾力化」を表明した。その後、元の対ドル相場は緩やかな上昇が続く。人民銀が3日発表した取引の基準となる中間値(基準値)は1ドル=6.5695元。前日よりも0.0041元の元高・ドル安水準で、05年7月の制度改革以降の最高値を更新した。

元相場は他の主要通貨に対しても少しずつ上昇している。人民銀が直近の利上げを始めた10年10月の半ばに比べると対ユーロは1.6%、対円でも2.0%上がった。

「インフレを抑え込むための政策手段を総動員する。その中には為替相場も含まれる」。人民銀の周小川総裁は今年2月、訪問先のパリで記者団にこう宣言。ほぼ同時期にガイトナー米財務長官は議会での証言で、インフレに悩む中国が元高以外の「選択肢がないとの判断に内々に到達した」との見方を示した。

中国の1月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比4.9%で、今年の抑制目標の4%を大きく上回る。干ばつや寒害もあって食料品を中心に物価高が収束に向かう気配は乏しい。最近の原油高はガソリンや燃料の値上がりに直結する。

そこで切り札に浮上しているのが元高傾向の容認だ。人民銀は国内に入ってきた外貨を元で買う市場介入を通じて、大量の人民元を市場に吐き出している。これがカネ余りを生み、国内の物価や不動産価格を押し上げる構図がみられていた。

介入を減らして元高にすれば、カネ余りを抑えるだけでなく、輸入品の値下がりでインフレ圧力を和らげる効果も見込める。中国は原油や鉄鉱石、穀物などでも輸入国として存在感を増す。

中国は昨年10月から利上げを重ねた結果、超低金利を続ける先進国との金利差が拡大。海外から資金が流入しやすくなっている。中国の外貨準備は昨年9月末からの3カ月で1990億ドル増え、増加額は四半期でみて過去最大だ。外貨の大量流入を受け元相場を低めに保ちにくくなっているという限界も浮かぶ。

一方で政治的な関門も控える。「企業の耐久力と雇用への影響を考慮しなければならない」。温家宝首相は2月27日、インターネット上の対話で、元の切り上げが輸出を冷やすなどマイナス面にも目配りする考えを改めて強調した。

国家の大行事は為替政策の転換点になり得る。07年10月には5年に1度の共産党大会の後に元相場の上昇が速まった。今回の全人代で物価高への不満を吸収した後、政府が元の一段高に動くとの見方も出ている。

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