2019年1月19日(土)

無期限緩和、前倒し 脱デフレ「何でもやる」
日銀総裁候補の黒田氏が所信

2013/3/5付
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政府が次期日銀総裁候補として国会に提示した黒田東彦アジア開発銀行総裁は4日、衆院議院運営委員会で所信を表明し、デフレ脱却へ日銀の金融政策を刷新する考えを示した。これまでの金融緩和を「不十分」と批判。日銀が2014年からとしている無期限緩和の実施前倒しを含めて「やれることは何でもやるという姿勢を明確に打ち出したい」と強調した。

「デフレの責任、日銀に」 長年、日銀を批判してきた黒田氏。この日も15年にわたるデフレの責任の所在を問われると「責務は日銀にある」と明言した。白川方明総裁率いる現在の日銀の金融緩和を「2%の物価上昇率目標を達成するには不十分」と批判。金融政策は「市場の期待に働きかけることが不可欠だ」と指摘した。

物価2%「2年念頭」 2%目標の達成は「2年程度か」とただされると「それくらいのタイムスパン(期間)を念頭に大胆な緩和をしていく」と表明。具体策では、白川総裁が慎重姿勢を続けてきた手法にことごとく踏み込んだ。日銀が買い入れ対象とする長期国債をいまの残存期間「1~3年」から拡大することや、上場投資信託(ETF)など日銀に損失リスクのある資産の購入の増額などだ。

日銀は14年から、米連邦準備理事会(FRB)に倣って国債などの金融資産を期限を切らず、毎月一定額買い入れる「無期限緩和」に乗り出す。黒田氏はこの新手法も前倒し実施の意向を表明。日銀の国債保有に制限を設けている「銀行券ルール」の見直しも検討を明言した。日銀による外債購入だけは「為替安定の責任は政府にある」と否定した。

政権との連携姿勢鮮明 黒田氏は安倍晋三首相の経済政策を「方向は正しい」と評価。安倍政権と足並みをそろえる姿勢も鮮明にした。日銀が国債の直接引き受けなど財政赤字の補填(財政ファイナンス)を強いられるとの懸念に対しては「財政ファイナンスは中央銀行として考えるべきではない」と明確に否定した。

衆院は5日には、日銀副総裁候補の岩田規久男学習院大教授、中曽宏日銀理事から所信を聴取する。参院では自民党の脇雅史、民主党の池口修次両参院国会対策委員長が4日に電話協議し、11日にも正副総裁候補の所信を聴取することで合意した。民主は自民に「採決をいたずらに延ばすつもりはない」と伝達。人事案は15日までに衆参両院の本会議で採決される公算が大きくなった。

<デフレ克服へ市場に意志示す 加藤出・東短リサーチチーフエコノミスト>

黒田氏はデフレ克服に向けた強い意志を市場に示した。金融緩和方針で、より長期の国債を買い入れるといった具体策に言及し市場の期待に応えた。

ただ5年という任期中にはデフレ克服というテーマだけでなく、通貨の信認確保という中央銀行本来の使命を問われる局面も出てくるだろう。日本の債務残高が積み上がるなか、政府と共に財政規律を保ち、長期金利を急上昇させないような細心の注意も必要になる。

<積極緩和派、改めて確認 熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト>

かなりの積極緩和派だという黒田氏の考えを改めて確認できた。何としても物価上昇率目標を達成するという堂々たる意志は評価したい。日銀は国際標準へ第一歩を踏み出すだろう。

日銀は購入する国債の年限を延長し、リスク資産を買い入れるべきだ。従来の日銀では不十分だった市場との対話の強化も必要だ。黒田氏は慎重姿勢を示したが、政府から認められれば外債購入を検討する余地もある。

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