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原発、来夏に複数稼働 規制委が新基準

「第1号」伊方・川内が有力 電力、申請急ぐ

原子力規制委員会が19日に原子力発電所の安全を保つための新しい規制基準を決めた。電力各社は施行日の7月8日に向けてどの原発の再稼働を申請するか検討を急ぐ。第1号の再稼働が固まるのは最短で年末年始とみられ、電力需要が膨れる来夏には複数の原発が稼働しそうだ。電力供給の不安が薄れる半面、安全対策の強化はコスト増を通じて新たな値上げ要因を生む。

「初日はテントを張って並ぶかも」。ある電力会社の幹部は新基準の施行日を前に真顔で話す。一番乗りをめざすのは「申請が早いほど審査も再稼働も早い」と淡い期待を寄せるからだ。第1列から外れればかなり先まで後回しになりかねない。「少しでも早く」と電力会社は焦る。

7月8日にも北海道、関西、四国、九州の4電力が6原発・12基の運転再開を申請する見通しだ。いずれも格納容器が大きく、原子炉内の圧力が上昇しにくい「加圧水型」で、早めの審査通過が見込める。現状で第1号の有力候補は四国電力伊方原発3号機(愛媛県)と、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に絞られてきた。活断層の疑いがなく、高台にあり津波の恐れも小さい。地元の理解も進む。

審査期間は「事業者の準備次第で相当変わる」(田中俊一委員長)が、約6カ月とされる。3班で計80人の体制で審査に臨み、まず地震対策から点検に入る。審査後の地元への説明も考えると、再稼働は早くて年末~年明けになりそうだ。

泊(北海道)、高浜(福井県)、大飯(同)、玄海(佐賀県)の4原発が「2番手グループ」だ。電力各社は7月の参院選で自民党が勝利して再稼働に追い風が吹き、段階的に審査が進んでいくことを期待する。

隠れた焦点は東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)だ。東電は1、7号機の再稼働をめざすが、7月8日に申請できるかは微妙。排気設備の工事が要るのに、現時点で地元の新潟県の泉田裕彦知事は反対している。再稼働が遅れるほど、2度目の値上げが現実味を帯びる。社内には「申請第1陣に入れなければ中堅・若手の離職が加速する」と悲観論が渦巻く。

大手電力9社と日本原子力発電の10社の安全対策費は判明分だけで約1兆3300億円に上る。規制委が基準骨子案を公表した1月末の約8700億円から1.5倍に膨らんだ。対策にかかる投資の増大分は原則として電気料金に上乗せされる。「さらに対策費が膨らむ可能性もある」と関電幹部は認める。

一方で原発の選別も進みそうだ。法律で運転は原則40年間に制限された。古い原発は安全対策に巨額の投資をしても稼働期間が短く、投資を回収できない。九州電の瓜生道明社長は運転30年超の玄海1、2号機について「追加された規制への対策コストも踏まえて再稼働を検討する」と語る。新増設が当面見込めない各社は廃炉にも踏み込みにくい弱みを抱える。

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