地方公務員給与、国を上回る 削減巡り相互不信
自治体の判断が焦点

2013/2/9 3:30
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地方公務員の今年度の給与は9年ぶりに国家公務員を上回った。東日本大震災からの復興財源に充てる目的で国が昨年4月から7.8%下げていることが理由だ。国はこの格差をもとに地方に給与削減を要請。一方で地方は納得せず、相互不信が深まっている。

総務省によると、国を100としたときの自治体の給与水準を示すラスパイレス指数は昨年4月時点で107.0。前年比8.1ポイント上がり、9年ぶりに国を追い抜いた。一般行政職の月給は地方が33万1189円、国は30万4944円だった。個別では全体の87.5%に当たる1566自治体が国より高かった。

全国の自治体で最も給与が高かった千葉県君津市。「不名誉な結果」(鈴木洋邦市長)と受け止めており、指数の公表を見越して1月から自主的に給与の削減を始めた。一方、政令市で最高の名古屋市は「職員の感覚とかけ離れている印象」と戸惑う。

国は「地方も身を削るべきだ」と主張し、給与を7月から国と同じ水準に減らすことを要請。来年度に配る地方交付税を地方公務員の給与分の7.8%にあたる4千億円減らし、「兵糧攻め」で削減を迫る。

独自に給与を削減している自治体には「地域の元気づくり事業費」の名目で総額1500億円の交付税を配る。今年度時点で給与が国を下回っている点や大幅な人員削減をしてきたことを条件に配る見返りといえるが、交付税は差し引き2500億円減り、地方の取り分は少なくなる。

地方側の不満は渦巻く。宮城県の村井嘉浩知事は「交付税は地方固有の財源。全く筋が通らない」と憤る。国の要請に沿って給与を減らすかどうかは各自治体が今後決めるが、「デフレ脱却のため安易には下げられない」(静岡県の川勝平太知事)との声も出ている。交付税の減額分だけ給与を減らさないと他の経費を削減することになる。

国にも言い分はある。国家公務員が復興財源のために給与を削減したのは、国の財政が火の車だからだ。交付税は国の政策経費の4分の1を占め、国は赤字国債を発行して地方の財源不足を毎年穴埋めしてきた。歳出の抑制が求められるなか、交付税を聖域とは扱いにくい。

民間企業なら業績悪化を理由とした給与削減は常とう手段だ。国、地方を問わず公務員には長くこの考え方が通用しにくかった。国と地方は2014年度以降の公務員給与を抜本的に協議する場を設けることで合意している。感情論が先に立つ現状からは円満な妥協点は浮かんでこない。

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