2019年6月21日(金)

復興交付金1次配分決まる 申請の6割に、自治体不満
復興 現地発

2012/3/3付
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復興庁が2日に決めた復興交付金の初回配分が被災地に波紋を広げている。市町村の申請額に対して交付額は6割にとどまり、自治体から不満が出ている。平野達男復興相は「無駄なものは作らない」と強調しており、国と被災自治体との間で認識に溝ができてきた。

石巻魚市場は大型仮設建物でセリが続く(宮城県石巻市)

「復興庁ではなく査定庁になっているのではないか」。2日午後、宮城県庁に集まった記者団を前に、村井嘉浩知事は珍しく語気を荒らげた。

宮城県の市町村は復興交付金の初回申請について、22の自治体が2016億円(国費ベース)を要望した。しかし、査定結果は1162億円と6割弱にとどまった。仙台市の集団移転、石巻市の防災無線整備、県と共同での道路整備……多くの事業が見送りになった。

「従来の国庫補助申請と比べ、今回は多くの資料を求められ、県や市町村は相当混乱した」。村井知事は6日にも仙台市長らと共に、復興相に改善要望を出すつもりだ。

「実質的にゼロ査定だ」。福島県二本松市の三保恵一市長は、今回の結果に厳しい表情を見せる。同市は被災した道路の補修や区画整理など約100億円を申請したが、配分されたのは2000万円。原発事故で放射性物質に不安を抱く子どものために、運動場の屋内化なども計画していたが、交付は見送られた。

二本松市内では放射性物質の規制値を超すコメが見つかるといった影響が出ている。「事故被害から立ち直ろうと様々な事業を予定している」という三保市長にとって、原発事故の被害に対する国の財政支援は不十分に見える。

ただ国に寄せられた復興交付金の要望すべてが緊急を要するわけではない。著名な漫画家・石ノ森章太郎氏の作品などを展示する「石ノ森萬画館」。津波で損壊したため、石巻市は復旧を求めていたが、配分対象にはならなかった。

「地震で壊れたゴルフ場の施設を直してほしい」「観光のための展望塔を整備して」――。復興交付金では直接、生活再建につながらない要望も多く寄せられた。復興庁幹部は「すべてを認めていたら、本当に必要な所にお金が行き渡らない」と漏らす。

平野復興相は2日の会見で「計画をもう一度じっくり議論したいというものは外した」と言う。2回目の交付金の配分は3月末の予定。復興庁は被災地と認識をどこまで共有し、対立をどこまで解消できるか試される。

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