震災1年半、復興の歩み停滞 予算巨額でも人手・資材不足

2012/9/8付
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東日本大震災が発生して間もなく1年半を迎える。復興の歩みは今年に入って停滞が鮮明だ。政府は巨額の復興資金を手当てしたものの、被災地では人手や資材が不足し、結果的に復興工事を遅らせている。公的融資の急増で民間マネーも流れない。選択無き資金集中が被災地の混乱を招いている。

「風景変わらない」

「目の前の風景はこの1年、全く変わっていない」。津波が直撃した宮城県南三陸町で水産加工業を営む千葉孝浩氏は話す。漁港復旧が遅れ、閉鎖した工場を再開する計画すら立てられない。

政策シンクタンク総合研究開発機構が被災3県の企業活動や暮らしの回復度合いを指数化した「復興インデックス」は1月から動きがない。仮設住宅で暮らす32万人の受け皿となる公営住宅の着工は必要数の1%未満だ。

最大の原因は人手と資材の不足だ。公共工事削減で建設業者が減る中、被災3県の4~8月の公共工事請負金額は前年同期の2.5倍に急増。今年度末に執行期限を迎える工事現場では工期に間に合わせるため人手を囲い込む。JR仙台駅周辺では藤田観光のホテル着工のめどが立たず、民間工事にも悪影響を与える。

同県南部の堤防工事では1日40個の消波ブロックを作る予定だったが、生コン不足でスピードは計画の3分の1以下だ。県の試算では気仙沼市などで2014年に供給能力の3倍の生コンが必要になるが、数年で峠を越す復興事業のための設備増強に業者は戸惑う。

地域金融にもゆがみ

あふれる公的資金は地域金融もゆがめる。あぶくま信用金庫(福島県南相馬市)は取引先の減少に悩む。公的融資や補助金が充実しローンを繰り上げ完済する取引先が多いためだ。石巻信金(宮城県石巻市)の融資先は震災前から2割弱減った。

日本政策金融公庫の6月末までの融資額は合計3174億円。3県首位の岩手、七十七、東邦銀行の震災関連融資額3500億円に迫る。被災地の信金は資本注入で融資余力はあるが、公的金融の攻勢で企業との取引関係が弱まっている。

11年度予算15兆円のうち執行できたのはわずか6割。現場の混乱が続くなかで予算を積み増しても迅速な復興にはつながらない。多額の資金を効果的に使うためには、被災地の実情を踏まえて国が復興計画を練り直す必要がある。

(震災現地取材班)

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