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特集「大震災 再生へ」内の記事のうち、福島原発事故関連の記事は特集「福島原発 遠い収束」に、被災地の復興に向けた記事は特集「震災復興」にそれぞれ移転しました。

「内陸は手が出ない」 被災地の住宅再建に壁
路線価公表、浸水区域で捜す動きも

2013/7/1付
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国税庁が1日公表した2013年分の路線価からは、東日本大震災の被災地で住まいの再建に向かう被災者の姿が浮かび上がる。津波で被災した沿岸部からの移転先として内陸部の宅地は人気が高く、「手が出ない」と浸水区域で土地を探す動きも。原発事故に伴う避難者の多い福島県いわき市では、上昇率が9%を超えた住宅地もある。

集団移転のための宅地造成工事が進む蛇田地区
(宮城県石巻市)

集団移転のための宅地造成工事が進む蛇田地区
(宮城県石巻市)

津波を免れた宮城県石巻市内陸部の蛇田地区の路線価は前年比4.1%上昇した。地元の不動産業者は「内陸移転を望む被災者が多く、扱っている土地はほぼ完売した。実勢価格は震災前の2倍」と話す。同地区では、沿岸部からの集団移転先として最大1100戸分の宅地造成が進む。市が提示している分譲価格は1平方メートル当たり5万2千円が目安で、市内の他の移転用宅地の倍近い。

「集団移転先は地価が高すぎて手が出ない」。市内の仮設住宅で暮らす男性(67)はため息をつく。沿岸部の自宅は津波で全壊した。市の買い上げ制度を利用しても、自宅跡地の買収価格は震災前の8割ほど。「戸建ては諦め、災害公営住宅に入居するしかない」

■2カ月で完売

岩手県大船渡市盛町は前年比2.6%、宮城県気仙沼市本郷は同4%それぞれ上昇した。いずれも2年前の津波で1メートル以上浸水した区域だ。

最近は浸水区域でも土地取引が増加。宮城県の不動産業者が2月に約2メートルの浸水区域で売り出した7区画の宅地は、被災者らの申し込みが相次いで2カ月で完売した。業者は「内陸部の土地が少なく、津波の危険性に目をつぶって購入する人が多い」と説明する。

地価上昇を見込んで、被災した自宅跡地の買い上げ申請を遅らせる動きも。約80坪(1坪=約3.3平方メートル)の土地を持つ仙台市宮城野区の男性(62)は「もう少し待てば周囲の復興が進み地価が上がるかも。しばらく様子を見たい」と話す。

■「県外も考えに」

東京電力福島第1原子力発電所事故による避難者が流入し、人口が6月までに約2万4千人増えた福島県いわき市。住宅地が多い同市中央台鹿島は前年比9.3%上昇した。

3月からは避難指示区域内の土地に対する東電の賠償金支払い手続きも始まり、「まとまった資金を得て新居を購入する避難者が増えた」(地元不動産業者)という。双葉町から同市内の仮設住宅に避難している男性(63)は「いわき市に移住を決め、半年以上土地を探しているが希望する価格では見つからない。最近では県外に住むことも考えている」とこぼす。

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