放射性物質、食品・水の規制値緩和
食品安全委検討、国際基準並みに
内閣府の食品安全委員会(小泉直子委員長)は25日、野菜などの食品や飲料水を通じた放射性物質摂取の規制基準について国際基準を参考に緩和する方向で検討に入った。厚生労働省が定めた暫定規制値は人体への影響について年5ミリシーベルトを超えないことを基準としたが、同10ミリシーベルト以上に緩和する考え。来週中に厚労省に答申、同省は暫定規制値の見直しを迫られる。
国際放射線防護委員会(ICRP)は1984年、原子力災害発生時の食品の規制基準として、事故後最初の1年間の放射線量を全身で5~50ミリシーベルト、個別の臓器で50~500ミリシーベルトと勧告。92年には基準を全身で同10ミリシーベルト以上に緩和した。
その際、ICRPは代替食品の供給が容易に得られない状況や、住民が重大な混乱に陥りそうな状況では「年10ミリシーベルトよりもはるかに高い放射線量」にまで規制を緩和することを認めた。
25日の食品安全委では「年5ミリシーベルトを基準としている厚労省の暫定規制値は厳しすぎる。水不足などの混乱も起きており、国際基準を参考に基準(の下限値)を引き上げるべきだ」との指摘が出た。委員会終了後、小泉委員長も「被災地などで水不足による健康被害が生じる恐れもある。(下限値)引き上げの方向で検討したい」と述べた。
基準が年10ミリシーベルトになれば、放射性セシウムの暫定規制値は飲料水や牛乳が1キログラム当たり200ベクレル、野菜類や肉類などが同500ベクレルだが、それぞれ400ベクレル、1000ベクレルに緩和される計算だ。