2019年5月20日(月)

震災がれき 再利用に知恵
自治体・企業、森の防波堤づくり 演奏者ら、太鼓・ギター材料に

2012/5/25付
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東日本大震災の大量のがれきを再利用する、様々な取り組みが広がってきた。がれきを活用して築いた土塁に広葉樹を植えて「森の防波堤」を築く構想や、がれきを使った楽器作りなど。再利用は遅れがちながれきの処理を後押しするため、県や市も復興用の資材などへの転用を急ぐ。

岩手県大槌町で植樹をする宮脇名誉教授(左)と細川元首相、細野豪志環境相ら(4月30日)=宮脇氏提供

岩手県大槌町で植樹をする宮脇名誉教授(左)と細川元首相、細野豪志環境相ら(4月30日)=宮脇氏提供

「被災地の沿岸に緑の"万里の長城"をつくる」。青森県から福島県までの300キロにタブノキやシラカシなど9千万本を植える計画が進む。幅100メートル、高さ約22メートルの土塁をがれきと土で築き、木を植えて防波堤の役割を担わせる構想だ。

国内外で4千万本以上の植樹を指導してきた宮脇昭・横浜国立大名誉教授が自治体や企業に呼びかけ計画が進む。4月には岩手県大槌町でタブノキなど3千本の植樹が行われた。細川護熙元首相が理事長を務める一般財団法人「がれきを活かす森の長城プロジェクト」を6月にも設立、宮城県岩沼市、福島県南相馬市でも植樹を進める計画だ。

「木片は10年で土に返り樹木の養分になる。コンクリートに根が巻き付けば倒れにくい木になる」と宮脇名誉教授。「がれきという"資源"を役立てたい」と意気込む。

宮城、岩手県の自治体ではがれきや焼却灰を地盤の補強材料、土木資材にする再利用策が広がる。有効活用に加え、難航する広域処理、容量に限りのある埋め立て処分の量を抑える狙いもある。

宮城県名取市は昨年6月ごろから、コンクリートがれきを破砕処理。砂地に設けられたがれきの仮置き場の車両通路の整備、仮設焼却炉の地盤の資材に使った。

同市は「当初はがれきの量がどこまで増えるか分からなかった」などと、再利用を急いだ理由を説明。これまでに全体の36%にあたる、19万トンを再利用した。

がれきを材料にした太鼓やギター作りという、ユニークな再生法も。宮城県美里町の太鼓演奏者らは昨年6月ごろから隣接する同県東松島市のほか石巻市や南三陸町からがれきを譲り受け、東京都内などの企業に楽器の製作を依頼している。

美里町の和太鼓奏者のプロダクションの役員、千葉秀さん(47)が発案、所属する太鼓奏者らと直径1メートルの和太鼓の製作に乗り出した。今年3月には太鼓演奏が盛んな石巻市雄勝地区の中学校に計2台を寄贈。秋祭りに向け、太鼓を津波で失った南三陸町などの団体にも贈る予定だ。

ギターやベースなど洋楽器も製作。全国の楽器店を通じ、これまで約50本を販売した。「がれきには人々の生活の思い出がつまっている」と千葉さん。「先の世代に受け継いでもらえれば、震災の記憶を伝えることにもつながる」と話した。

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