2019年2月19日(火)

被災地文化財 修復遅れ
寄付金集まっても… 材料や技法、検討に時間

2011/11/16付
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東日本大震災で被災した歴史的な建造物の再建が遅れている。修復に向けて多額の寄付金が集まっている例もあるが、国の重要文化財の指定を受けている場合、建築当時と同じ材料や技法で修復しなければならず、調査に時間がかかるためだ。観光客の減少が地域経済の痛手となっている被災地では、集客力のある貴重な観光スポットの早期修復を求める声が高まっている。

内外壁などに大きな被害が出た弘道館(水戸市)

旧水戸藩の藩校「弘道館」(水戸市)は震災で建物の壁や屋根が被害を受けて3月11日以降、休館を続けている。復旧費用などに充てるための寄付金は1億円を超えた。市民らの強い要望もあって庭の見学は再開したが、建物内部を公開するめどは立っていない。「(重要文化財なので)建設当時の材料や方法を検証したうえで修復する必要がある」(茨城県)ためだ。

例えば割れた瓦では専門家の意見を踏まえて、土の産地から焼き方まで再現しなければならない。この手順をクリアして着工しても、完成までには最低でも2年間はかかる見通しだ。

文化庁によると、今回の震災では国宝が5件、重要文化財は159件が被害を受けた。

弘道館のほかにも、宮城県の旧中澤家住宅(名取市)や福島県の旧伊達郡役所(桑折町)、旧福島県尋常中学校本館(郡山市)などが公開できずにいる。

旧伊達郡役所は内部の土壁が剥落するなどの被害を受けた。明治時代に建設された洋風建築で町のシンボル的な存在だが「昔の技術や材料も必要で修復や再開の予定が立っていない」(同町)。安積歴史博物館として公開していた旧福島県尋常中学校本館も、壁の被害が大きく修復が終わる時期の見当がついていない。

弘道館は年間6万人程度の来場者があり「震災前は増加傾向にあった」(茨城県)。東京電力福島第1原子力発電所の事故の影響などで観光客数の低迷が続いており、地元は一刻も早い修復と公開の再開を求めている。

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