放射線の情報、母「学びたい」 首都圏で講演会盛況
「子供守る除染方法も聞きたい」

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2011/9/15付
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福島第1原子力発電所事故の終息の見通しが立たない中、幼い子供を持つ母親たちを中心に、目に見えない放射線への関心が首都圏でも高まっている。健康への影響を学ぼうと、専門家による講演会は盛況。不安な気持ちを共有し、自分たちの手で子供を守ろうとする「ママの会」も広がっている。専門家は「よく知ったうえで正しく怖がって」と呼びかけている。

放射線医学総合研究所から講師を招き開かれた放射線の基礎知識を学ぶ講演会(8月、東京都港区)

「なぜ日本政府の被曝(ひばく)の規制値はドイツより緩いの?」「妊婦への影響は?」――。8月、東京都港区が放射線医学総合研究所(千葉市)の研究員を招いて開いた放射線を学ぶ講演会。質疑応答で、約120人の参加者が次々と疑問をぶつけた。

研究員は「日本が参照した国際機関に比べ、欧州連合(EU)の基準は厳しいため」「妊娠初期に200ミリシーベルトの高い放射線を受ければ流産の危険がある。むしろ心配しすぎる方が胎児に悪影響を与えるのでリラックスしてください」などと丁寧に回答。人は日常生活でも年間2.4ミリシーベルトの放射線を受けていることや、累積被曝量が100ミリシーベルト以下では、健康被害が起きる科学的な証拠はないことなどを説明した。

娘が1歳の主婦、寺田真矢さん(37)は「漠然と不安だったけど、どういうものかは理解できた」と納得顔。0歳児の母、堀場綾乃さん(23)は「今度は子供を守る実践的な除染方法も聞きたい」と意欲的だった。

こうした「学ぶ会」は各地で盛況だ。千葉県流山市では江戸川大(同市)が8月下旬に講演会を開催。住民約250人が集まり、担当職員は「みな真剣な表情」と話す。

「日本科学未来館」(東京)が震災後、首都圏で20回以上開いた実験付き学習会も毎回、定員いっぱい。延べ600人以上が参加し、放射線が通った跡を肉眼で確認できる装置で実験も行った。江戸川区の小学3年、藤原こすもさんは「毒ガスと違うんだ。怖いけど、説明を聞いてどんなものか分かってよかった」。

同館で科学技術の解説などを担当する橋本裕子・科学コミュニケーターは「放射線については玉石混交の情報があふれている。正しく知った上で、正しく怖がることが必要だ」と強調する。

幼い子供を持つママたちは各地で「子供を守る会」などを立ち上げ、自衛にも乗り出している。

7月には、各会をつなぐ「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」が発足。首都圏のママの会を中心に190団体が参加、賛同者は約1600人にのぼる。ママの会は公園の表土を取り除くなどの除染まで行うところもあるが、放射線の知識や対策を学ぶ勉強会への参加や、不安を簡易ブログなどで共有し情報交換する活動が主体。同ネットワークでは、専門家を交え食品や街頭でのきめ細かな線量の測定や子供の独自安全基準を考えるなど幅広く活動を進めている。

7~20歳の子供4人を持つ事務局の伊藤恵美子さん(48)は「放射線の影響は10年、20年と続く。リスクをよく知って、健康な子育てと安全のバランスも考えなければ」としている。

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