東電再建まず一歩 柏崎原発の再稼働審査を申請
当面の資金調達に道

2013/9/27付
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東京電力の柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の再稼働に向けた手続きがようやく動き出した。再稼働を前提に収益の好転を訴えることで、銀行から融資を受ける道が開け、資金調達の危機はひとまず避けられる見通し。しばらく再値上げをしなくてもしのげそうだ。一方、原子力規制委員会は活断層の有無など慎重に審査する方針だ。

柏崎刈羽6、7号機の安全審査について東電は当初、7月中の申請を見込んでいた。しかし新潟県の泉田裕彦知事の反発や福島第1原発の汚染水問題の影響で、シナリオは白紙に戻った。

東電と政府が昨年まとめた「総合特別事業計画」(再建計画)によると柏崎刈羽は2013年4月から順次稼働するはずだった。動いている原発は今もなく、火力発電に頼った結果、12年度の燃料費は2.8兆円と10年度の1.9倍に膨らんだ。原発が1基動けば年1200億円の収支改善の効果をもたらす。

経営なお綱渡り

借り入れが必要な東電は再稼働の時期を仮置きした収支計画を説明してきた。不信を抱く一部の金融機関は「再稼働できないなら値上げを約束してほしい」と突き上げ、「申請なしでは説得力がない」(東電幹部)と自ら認めるほど追い込まれた。一方で昨年値上げの実施に苦しんだ広瀬社長は再値上げに動くことには後ろ向きだった。

綱渡りの経営は続く。規制委の審査を考慮すれば、今期中は再稼働を望めそうにない。コスト削減の強化が避けられないうえ、除染費用の負担はこれから増す。

除染やはぎとった土をためる中間貯蔵施設の費用は、国や自治体が東電に請求できる。特に中間貯蔵施設は計画が具体化した途端に東電が兆円単位で債務の認識を迫られ、債務超過に陥る恐れすらある。「被災者への賠償、廃炉、汚染水対策は限界までやるが、除染まではやりきれない」と東電幹部は語る。

東電は昨年11月から国に除染費用の追加支援を求めてきた。だが財務省は慎重なままだ。国は汚染水対策で約470億円の税金投入を決めた。さらに除染にも手をさしのべれば「東電の組織はいまのままでいいのか」と経営の体制を問い直す声が広がる見通しだ。

活断層が関門

東電にとって規制委の審査も気がかりな点だ。柏崎刈羽は深刻な事故を起こした福島第1と同じタイプの沸騰水型軽水炉(BWR)の原発で、審査に入れば最初の例となる。敷地内に活断層があるとの見方もあり、早期の再稼働にこぎ着けられるかは不透明だ。

かつて旧原子力安全・保安院は「活断層の判断にはデータ不足」と指摘。東電は「断層は20万年前以降は動いておらず、活断層ではない」と主張するが、規制委が根拠が不十分だと判断すれば再調査を求められ、審査が長引く可能性もある。

規制委は10月に20人程度を中途採用し、現在80人の審査体制を100人規模に増強する方針だ。事務局である原子力規制庁の幹部は「申請があれば淡々と審査する」と話す一方、福島第1原発の汚染水問題が収束しない中での申請に「違和感がある」とも漏らす。

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