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稲盛氏、日航取締役退任で会見
「復活は社員献身の結果」 求心力維持と改革継続が課題

2013/3/20付
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日本航空は19日、再建を主導した稲盛和夫名誉会長が3月31日付で取締役を退任すると正式発表した。4月以降も名誉会長職は継続するものの、今後は助言役に徹する。同日、取締役として最後の記者会見に臨んだ稲盛氏は、日航を最後に経営の第一線から退くことを表明した。V字回復を遂げた日航には稲盛経営の継承が課題になる。

記者会見する日本航空の稲盛名誉会長(左)と植木社長(19日、東京都品川区)

「(航空業界に)まったく素人で無知な私がここまでできるとは思えなかった」。記者会見の冒頭、稲盛氏は日航再建に携わった3年間をこう振り返った。稲盛氏は自身が考案したフィロソフィー(意識改革)と部門別採算制度を日航再建に活用。「素晴らしい成果は社員の方々が献身的に努力した結果だ」

会長就任から3年をメドに日航の経営から身を引く考えを公言していた稲盛氏にとって今回の取締役退任は既定路線。ただ、一切の役職から身を引くつもりだったが、大西賢会長と植木義晴社長の要請を受け4月以降も名誉会長の肩書は残ることになった。

出社するのは週1回程度に減るが、月1回開かれる各部門の業績報告会には「できるだけ出席」する。経営全般に対する稲盛氏の「チェック」は働くとみられる。

日航再建を成功させたことで稲盛氏の元には今後、不振企業などから支援要請などがありそう。しかし、「もう81歳。他の企業から頼まれても引き受けるつもりはない」と明言。新たに企業の役職にはつかない意向を示した。今後は稲盛財団や自身が主宰する盛和塾などの活動に重点を置くという。

圧倒的な存在感を持った稲盛氏が第一線を退いた後、日航の経営陣にとって社内求心力の維持と改革継続が課題になる。植木社長は「意識改革の活動と部門別採算の2本柱を継承できるよう努力していきたい」と話しており、有言実行が問われることになる。

27歳で京セラを創業し、52歳でDDI(第二電電、現KDDI)を立ち上げた起業家の稲盛氏は、54年間の経営者人生で「日航再建は集大成だった」と語ったことがある。取締役退任を控えた18日には幹部社員200人を前にこう話した。「謙虚にしておごらず。慢心には気をつけろ」。3500億円もの税金を投入した日航再建。改革の後戻りは許されない。

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