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日航、脱ボーイング偏重 エアバスから31機購入
日米貿易摩擦以来のしがらみ、経営破綻契機に転換

2013/10/8付
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日本航空は7日、欧州航空機大手エアバスの大型旅客機「A350」31機の購入を決めたと発表した。米ボーイングの「777型機」の後継機として2019年以降に導入する。これまでは米国への政治的な配慮もあり、小型機を除きボーイングの機材を利用していたが、方針を転換する。大型機はすべてエアバス機となる可能性もある。日航は経営破綻を経て、経済合理性を徹底する決断を下した。

契約書を手にする日航の植木社長(右)とエアバスのブレジエCEO(7日、東京都港区)

エアバスが公表している参考価格で計算すると総額は9500億円。「日航はボーイングと競わせてかなりの値引きを受けた」(関係者)とされるが、仮に半額でも5000億円規模の商談となる。これ以外にキャンセル自由のオプション契約で25機を購入できる。

稲盛氏が影響力

日航の6月末時点での保有機数は214機で、46機を占める777が置き換われば、ボーイングの大型機がなくなる可能性もある。

「メーカーからの支援を含めた経済性の高さ」。日航の植木義晴社長は選択理由について、こう強調した。

日本の航空業界とボーイングの関係は深い。今でこそ「民と民の取引」(ボーイング)だが、以前は国の関与が大きかった。1機100億円超の航空機は貿易不均衡を是正する絶好の商品で、米国最大の輸出産業でもあった。1980年代以降、日米間の貿易摩擦が激化した時代背景が日本勢にボーイングの購入を促していた面がある。

しかし、日米摩擦の沈静化や、米国の対中貿易赤字の拡大といった情勢変化もあり、米国の日本に対する圧力は弱まっている。国土交通省幹部も「(ボーイング一辺倒だった)今までが特殊でエアバスと競わせることが航空会社の調達にもプラスに働く」と指摘する。

転機となったのは日航の経営破綻と稲盛和夫氏(現名誉会長)の会長就任。根っからの「商売人」である稲盛氏にすれば複数社で競わせて調達コストを下げるのは購買の基本。経営破綻の原因の一つが1社偏重とみてエアバスを選択肢の中に組み入れた。

国内部品に打撃

更新時期の問題も大きかった。日航の777は今後2~3年で本格的な退役が始まる。ボーイングは後継機種の「777X」を19年に投入する計画だが、全容は見えず納入リスクが残る。A350は6月に初飛行を終え、契約通りの納入が十分に可能だった。

「1年以上前から検討してきた」と植木社長は振り返る。日航とエアバスは夏前に合意寸前まで交渉を詰めたが、ボーイングも対抗。値引き合戦は稲盛氏が描いたシナリオ通りとなった。

ただ、日航の「経済的な決断」が今後も押し通せるかは不透明。ボーイングはエアバスに比べ日本の航空機産業と結び付きが強く、航空機部品メーカーにとっては最大の顧客。しかし、日本での機材販売が減れば、国内部品メーカーに発注する意義は薄れる。影響は受注減の形で部品メーカーに及びかねないだけに、経済産業省などを含めボーイングへの配慮を求める動きも出てきそうだ。

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