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実は存在、ビッグバン以前 宇宙誕生の痕跡を初観測

日経サイエンス

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宇宙誕生直後に起こった現象として「ビッグバン」はよく知られている。このビッグバン以前に、極小だった宇宙全体が一瞬で急膨張する「インフレーション」現象が起きていたとする説が、宇宙誕生の謎を説明する理論として有力視されている。

米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターなどの研究グループは3月、このインフレーションが起きていたことを示す証拠を発見したと発表、世界的な大ニュースとなった。そのインパクトは昨年のノーベル物理学賞の受賞テーマであるヒッグス粒子の発見を上回るともいわれる。

時空のゆがみを検出

研究グループが南極の米アムンゼン・スコット基地にあるBICEP2望遠鏡を使って観測したのは、天球上、天の川からかなり離れた星が少ない暗い領域から来るマイクロ波(電波の一種)。

このマイクロ波は非常に遠くの宇宙から来たと考えられ、その到来方向ごとに「偏光」と呼ばれる電波の振動方向の偏り具合を調べた。その結果、インフレーション時に生じた時空のゆがみが波として伝わる「原始重力波」に特徴的な偏光パターンが見つかった。

もっとも、原始重力波の証拠を発見したと証明するためには別の複数の波長域のマイクロ波の偏光について同様に調べ、理論予測と高い精度で一致することを確認する必要がある。今回の観測は全天の1%に満たない領域を対象にしたものなので、最終的には全天にわたって同様の観測をする必要がある。

 多くの専門家が衝撃を受けたのは、これまでの天文観測や理論研究から予想されていたより、原始重力波を示す偏光パターンの信号が桁違いに強かったことだ。以前の予想では、原始重力波の証拠を運よく発見できるとしても、2020年代以降になるだろうという見方があった。

南極とチリで観測合戦

だが信号が本当にこれほど強ければ、今回の研究グループとしのぎを削るライバルグループの地上観測や気球観測でも検出できる可能性が高い。米アムンゼン・スコット基地では南極点望遠鏡やケックアレイ望遠鏡も観測をしている。もう1つの観測拠点は南米チリの標高5000メートルを超えるアタカマ高地で、「POLARBEAR」や「ABS」などの望遠鏡がある。

高エネルギー加速器研究機構を中心とした日本の研究グループはPOLARBEARの国際共同観測に参画、その中心メンバーとなっている。その感度はBICEP2に迫り、より幅広い波長域の重力波を探索できる。

今春、BICEP2に先駆け、POLARBEARは原始重力波の信号を絞り込むのに重要な役割を果たす成果をあげた。来年度には感度をさらに6倍に高めた観測装置を搭載する予定で、今後の動向が注目されている。

(詳細は25日発売の日経サイエンス6月号に掲載)

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