生きがいはカネより世直し 台頭する新世代起業家
スタートアップスinUSA(4)

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2014/4/4付
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 二律背反するはずの「利潤の追求」と「社会的貢献」を両立しようと試みるのがソーシャル・アントレプレナー(社会的起業家)だ。現在の若者世代は、多感な時期に「100年に1度」といわれた2008年の金融危機を経験。マネーゲームへの憧れは希薄だ。ビジネスを通じて、世の中を良くしたい――。儲(もう)けるだけに重きをおかない新世代の挑戦が始まっている。

テラサイクルのトム・ザッキーCEOの部屋は廃ペットボトルで仕切られている

テラサイクルのトム・ザッキーCEOの部屋は廃ペットボトルで仕切られている

「リサイクルできないと信じられているモノをリサイクルするのが俺たちの仕事」

たくさんのボトルを背に、トム・ザッキー(32)はこう話す。ここはバーではない。ボトルはボトルでも使用済みペットボトルに仕切られた彼の"重役室"だ。名刺をもらおうとするとスタンプを取りだし、取材ノートに押してくれた。なるほど紙の節約になる。

■良い社会を作るビジネスでなければ無意味だ

ザッキーが創業したテラサイクル(ニュージャージー州トレントン)が目指すのは「ゴミ・ゼロ」の社会だ。ゴミの資源化は現状では、アルミやガラスなどの一部の素材だけで、大半が埋め立て処分や焼却処理されている。ザッキーはこうしたリサイクル不可ゴミの再生に情熱を燃やす。

テラサイクルの手にかかれば、回収された大量のたばこフィルターはプラスチック製の荷役台(パレット)に、型番落ちのアウトドア用テントはバッグや洋服に生まれ変わる。

13年の売上高は1870万ドル(約19億円)。世界24カ国でリサイクル事業を手掛ける規模に成長したが道のりは平たんではなかった。

ペットボトルのゴミで飾られたテラサイクルのオフィス。机も椅子もすべて廃品だ

ペットボトルのゴミで飾られたテラサイクルのオフィス。机も椅子もすべて廃品だ

創業は13年前。ここから車で約20分のプリンストン大学で産声を上げた。同大学1年生だったザッキーは、生ごみをミミズに処理させると良質な堆肥ができることを知る。大学のカフェテリアの残飯をもらってミミズ堆肥の大量生産に成功する。家庭菜園用に購入してくれる顧客もついた。「ゴミがお金に変わるなんて」。ザッキーはゴミの潜在力に目覚めた。

「生ゴミを使うのはやめたらどうか」。創業2年目にベンチャーキャピタル(VC)が主催する事業計画コンテストに応募し優勝するが、調達に意外にコストがかかる残飯の利用をあきらめるように指示される。「良い社会を作るビジネスでなければ意味がない。そこを譲るわけにはいかない」。ザッキーは100万ドルの賞金を諦めた。

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