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飼い主の悩みネットが解決 ペットSNSなど活況

ペット情報を専門に扱うネットサービスが活況を呈している。愛犬家向けの無料情報誌を手がけるONE BRAND(東京・港、高本誠也社長)が、飼い主のための交流サイト(SNS)を近く開始する。既に開始しているニフティやリクルートホールディングス、サイバーエージェントなども独自の特徴を打ち出し、拡充に余念がない。

現在国内で飼育されているペットは約2062万頭(匹)。1649万人まで落ち込んだ15歳未満の子供の人口よりも多く、大半が家族の一員として室内で飼われている。ただペットも高齢化が進むなど、育てるうえでの悩みも多様化しつつある。各社の取り組みは、解決できずに困っている飼い主を手助けしようと試みるものだ。飼い主と飼い主、飼い主と獣医師やペット関連企業・施設をつなぐ新たな基盤が、ネットの力を借りて誕生する可能性が出てきた。

愛犬家のための「フェイスブック」誕生

愛犬家向けの無料情報誌を手がけるONE BRANDは近く、飼い主のためのSNSを開始する。4年で400万人の利用者を見込む

ONE BRANDが始める新SNS「dogg.me(ドッグ・ミー)」は、犬種を指定して同じタイプの犬を飼う仲間を探して情報交換できるサービスだ。タイムラインで表示した仲間の投稿を読んでコメントしたり、写真を整理したアルバムを閲覧したりできる。いわば愛犬家に特化した「フェイスブック」のようなサービスだ。

フェイスブック上にペットにまつわる投稿していた利用者は、過去の履歴をまとめてドッグ・ミーに流用できる。初期設定時にフェイスブックへの投稿の中から愛犬に関するものだけを抽出して一括登録できる。新たに投稿するとフェイスブック側に同時投稿するなど、連携機能も用意した。

同社は2006年に社名を冠した無料情報誌を創刊し、現在愛犬家向けでは最大となる18万部を隔月に発行している。ドッグカフェやトリミング施設、動物病院、ペットショップなどで入手できる。大手出版社が古くから愛犬雑誌を手がけるなかでの参入だったが、いち早く犬の高齢化問題に目をつけるなどの差異化で読者の支持を広げた。最近は犬を愛しおしゃれな男性を指す「イヌメン」という造語を考案するなど、愛犬と飼い主の双方の生活スタイルを豊かにすることにこだわった編集方針を貫く。

家族の一員としてペットと暮らす飼い主が急増。高齢化から過ごす時間も増え、生じる悩みは多様化する一方だ

アナログな紙にくわえてデジタルにも取り組む理由は、愛犬家の趣向が細分化する実態に合わせるため。国内で飼われている犬種は約130におよび、犬の年齢に沿って抱える悩みや欲しい情報が次々と変わっていく。「犬種と犬の年齢をかけ算した数だけ飼い主のスイートスポットが多様化している。アナログだけでは限界があった」(高本社長)という。

これまでにも愛犬家向けSNSは存在していたが、写真を投稿して自慢しあうなど楽しさに軸足を置いたものだった。同社は無料情報誌を8年間発行する中で、リアルな場で出会った飼い主同士がお互いの切実な悩みを相談しあうケースが多いことに着目。ドッグ・ミーでは交流目的だけでなく、問題解決にも役立つ場に育てたい考えだ。

ONE BRANDの高本誠也社長はラジオ局出身という経歴を持つ。犬を愛すおしゃれな男性「イヌメン」を自ら実践している

約1200ある無料情報誌の配布先にはドッグカフェの店員や獣医師、しつけ専門家など犬の悩み解決の達人が少なくないことから、ドッグ・ミーへの参加を呼びかける。「自発的に飼い主の相談に乗るなど、上質な交流がSNS上に築かれるはず」(高本社長)と期待を寄せる。

4年後までに400万会員が集う国内最大となるペット関連のネットサービスを目指す。収益の柱は当面はバナー広告などが中心だが、将来的にはペット関連企業や施設に「出店」してもらいそこで得られる課金収入にも力を入れる。他社と組みペット用品を購入できる電子商取引(EC)やペット保険への加入、ペットと入居できる不動産や宿泊可能な旅館の情報などをSNS上で提供できるよう検討していく考えだ。

ニフティやリクルートも相次ぎ

ニフティは、子会社で動物病院向け通販のプロミクロス(東京・江東)と組み、全国の動物病院の診療メニューや料金を比較できる新サービスを1月に立ち上げた。「@niftyペット」で、「エリア」「診療時間」「診療内容」「設備」などの条件から目的に合った動物病院を探し出せる。約1000病院に対応しており、事前にオンラインで診療料金を支払う工夫も設けた。きめ細かいニーズにも応えるため、夜間診療や往診診療、手術の可否、ペット保険の可否なども調べられる。

プロミクロスは、食事療法が必要な犬猫のためのペットフードを全国の動物病院の約9割に卸売りしている。取引ネットワークを生かして獣医師や専門家約30人を募り、飼い主の悩み解決に役立つコラムも掲載する。ペットの種類や大きさ、年齢などを登録しておけば、愛犬や愛猫に合った情報提供もしてもらえる。

サイバーエージェントの「パシャっとmyペット」などペット関連のSNSが相次ぎ登場している。いずれも活況を呈している

このほかリクルートホールディングスはSNS「ぺとりごと」を2011年に開始。自動的にペットの気持ちを創作してつぶやきを投稿するのが斬新だとして、既に会員数が7万人に達した。

サイバーエージェントの「パシャっとmyペット」も人気を集める。飼い主がスマートフォン(スマホ)で気軽にペットの写真を投稿できるSNSで、投稿された写真は累計で200万枚となった。パシャっとmyペットの場合、捨て犬保護などの支援活動を行う一般社団法人アニマル・ドネーションと共同でオンラインで寄付を募る試みも3月に始めている。約1カ月間で1万2000件の協力を得られたという。

2013年度のペット関連市場は1兆4233億円と前年度比1.4%の微増になる見込み。成長を受けて産業界もペット市場には熱い視線を送る。トヨタ自動車が愛犬家のための車選び術や純正カー用品を紹介するウェブサイト「トヨタドッグサークル」を開設。ミサワホームも早くから愛犬家のための家づくりやリフォームについてネット経由で情報提供中。2011年には日本マイクロソフト(MS)と富士通が東日本大震災の被災地で保護した犬や猫の情報を検索するサービスを立ち上げた例もある。デジタル革命がペット市場にも着実に巨大な影響を及ぼし始めたことは間違いない。

(電子報道部 高田学也)

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