講談社、マンガ誌相次ぎ電子化 「進撃の巨人」も

2014/3/19 16:07
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講談社が定期刊行しているコミック雑誌を立てつづけに電子化する。4月7日にマニアックな作品を多く収録し一部読者に人気の高い「ITAN(イタン)」を、4月9日には「進撃の巨人」を連載する「別冊少年マガジン」を電子雑誌として刊行。40以上の電子書店に配信し、紙の発売日に読者が購入できる体制を整える。同社はこれまでに「週刊モーニング」「アフタヌーン」を電子化した実績がある。コミック市場が冷え込む中、デジタルの力を借りて読者を呼び戻したい考えだ。

■紙と同日に40以上の電子書店で買える

「別冊少年マガジン」は「進撃の巨人」(画面)や「惡の華」などヒット作を多数連載している。最新号が紙と電子で同時発売される。(C)諫山創・講談社

「別冊少年マガジン」は「進撃の巨人」(画面)や「惡の華」などヒット作を多数連載している。最新号が紙と電子で同時発売される。(C)諫山創・講談社

ITANは隔月刊のコミック雑誌で、「世界のはじっこを描き出す」をコンセプトに2010年に生まれた。落語を通して人生を描いた「昭和元禄落語心中」(雲田はるこ)など、独特の作風の作品ばかりを連載している。単行本化したことで人気が生まれた作品もあるが、コミック雑誌自体の知名度はまだまだ低い。電子雑誌を同時刊行することで読者の間口を広げるのが狙い。電子化1号では、目玉として「AKIRA」などで知られる大友克洋らによる対談も収録する計画だ。

もう1冊の別冊少年マガジンも09年創刊と新しい。「週刊少年マガジン」の増刊という位置づけの月刊誌だ。斬新な作品を掲載することにこだわった結果、「進撃の巨人」(諫山創)「惡の華」(押見修造)など相次ぎヒット作品を世に送り出した。進撃の巨人は13年だけで2045万部の単行本が売れ、累計発行部数は3000万部に達した。13年だけで約88億円もの売り上げを記録。そのおかげもあり講談社の13年11月期決算は売上高が1202億7200万円(前期比2.0%増)で、18期ぶりの増収となった。

2誌ともデジタル版の内容は紙とまったくで同じで、1冊ずつ電子書店を通じて購入する仕組み。米アマゾン・ドット・コム、楽天傘下のカナダのコボ、対話アプリLINEが展開する「LINEマンガ」、コミックの品ぞろえを強みとするイーブックイニシアティブジャパンなど国内の主要な電子書店の大半に対応する。

独特の作風の連載が多い「ITAN」も電子化する。40以上の電子書店を通じて配信する

独特の作風の連載が多い「ITAN」も電子化する。40以上の電子書店を通じて配信する

2013年の国内コミック市場は3669億円で前年比2.6%減となった。単行本が3年ぶりのプラスで2231億円(1.3%増)と好調だった一方で、コミック雑誌は8%減の1438億円だった。コミック雑誌は3357億円だった95年のピーク時から18年連続のマイナスとなり、9年で4割も縮小している。

ソーシャルゲームのディー・エヌ・エー(DeNA)が昨年12月に始めた無料の電子雑誌「マンガボックス」は既に累計300万ダウンロードを達成し、幸先よいスタートを切った。22日には大手出版KADOKAWAも「コミックウォーカー」で無料の電子雑誌事業に参入する。スマートフォン(スマホ)の普及で、若者を中心にコミック雑誌を定期的に買って読む習慣が失われつつある。電子化によって再び読者の心をつかめるか。出版社にとっての試練はもうしばらく続きそうだ。

(電子報道部 高田学也)

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