ネット戦略の要技術が消える 「クッキー」の功罪

(1/4ページ)
2014/2/26 7:00
保存
共有
印刷
その他

スマートフォン(スマホ)普及で沸くネット業界。一方である難題が浮上し、業界全体が揺れている。コンテンツの内容を充実させネット広告の売り上げをアップさせるには、利用者一人ひとりがどう見たかを分析し、かつその人にあった内容の広告を配信しなければならない。そのために欠かせないのが利用者が誰なのかを高い精度で推定すること。ところがスマホの登場でコンテンツの主役がウェブからアプリ(応用ソフト)に移行し、これまでの利用者推定の常識が通用しなくなってしまったのだ。

利用者の推定はネット企業の全ての戦略を支える要の技術。それだけに経営の根幹に関わる重要な課題に各社はぶち当たっているともいえる。新たな手法を見いだそうと試行錯誤するネット企業の今を追った。

■パソコン時代の常識がまったく通用しない

ウェブ業界に君臨するヤフーも、スマホ革命を前に大胆な戦略変更を迫られる。加藤倫サービスマネージャーはその一つが利用者の推定にあるという

ウェブ業界に君臨するヤフーも、スマホ革命を前に大胆な戦略変更を迫られる。加藤倫サービスマネージャーはその一つが利用者の推定にあるという

「若い世代がウェブでなくスマホアプリを好むようになり、戦略を一から見直さなければならなくなった」。ヤフーで広告事業を担当する加藤倫サービスマネージャーは、こんな悩みを打ち明ける。ヤフーは閲覧されるページ数(ページビュー)が平均で月間614億と国内で断トツ。パソコン時代の勝ち組とされウェブ業界に君臨するトップ企業も、スマホ革命の荒波にもまれている。

加藤マネージャーが最近優先的に変更に取り組む戦略の一つとして挙げたのが、コンテンツを使う利用者の推定だった。「ヤフーの屋台骨であるメディア事業と広告事業。いずれもスマホ向けでは利用者をどう特定するか決めないと質を高められない」(加藤マネージャー)。社長も早くから危機意識を持っており、経営上の重要な課題だととらえていたとする。

ヤフーはウェブメールを使う利用者などに「Yahoo! JAPAN ID」と呼ぶ個人を識別するIDを提供しているが、訪問する全員が保持しているわけではない。IDがなくても居住地を推測して天気予報を紹介したり、広告枠に本人がこれまでに検索して見たことがあるページの履歴を参考に興味を持ちそうなネット広告を表示したりしている。

こうしたネット上の「おもてなし」ができるのは、ウェブの世界には「クッキー」と呼ぶ標準的な技術があり、誰でも無料で手軽に使えるおかげだ。米アマゾン・ドット・コムや楽天など電子商取引(EC)サイトも、利用者が前回調べた商品などにすぐにたどり着けるようクッキーで工夫する。現在世の中にあまたあるウェブサービスの大半は、クッキーなしには成立しないといっても過言ではないほど多くの企業が頼りにしている。

ではクッキーとはいったいなんなのか。具体的にはウェブブラウザーに保管する微小なデータだ。ウェブサイト側が利用者のパソコンに自由に作ることができるもので、利用者がそのサイトで見たページの履歴や本人の属性などを記録しておける。どんな情報にするかはウェブサイト側で決められる。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]