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指紋認証・カメラでアップル超え狙う サムスン新端末を試す

【バルセロナ=兼松雄一郎】スペイン・バルセロナで開催中の世界最大の携帯見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2014」で韓国サムスン電子がスマートフォン(スマホ)旗艦機種「ギャラクシー」の新モデル「S5」を公開した。4月11日に世界150カ国で発売予定の最新機種に搭載した目玉機能をいち早く試してみた。

サムスン電子が採用した省エネモード。白黒表示など必要最低限の機能以外は利用できないようにできる

日本先行機能が世界標準に

S5は、省電力モードなど、地味だが消費者のニーズに応えた基本的な機能を充実させ、使いやすい仕上がりになっている。

省電力モードに切り替えると、画面が白黒になり、インターネット接続、メール確認、通話、メモ、計算など限られた機能しか使えなくなる。放っておくとすぐに画面が消え、データ通信を休止し、位置情報データのやりとりなども自動的に止まる。こうした工夫で電池の持ち時間を通常モードに比べ7割以上増やした。

省電力機能は特に日本での強い要望に応えるために昨年、日本向け小型タブレット(多機能携帯端末)で独自に採用。これを世界標準のモデルにも搭載した。

従来、日系メーカーに比べ劣っていた防水・防塵(ぼうじん)性能でも、日常生活で水をかぶったくらいでは問題ない程度に改善した。

「ギャラクシー・ノート3」で人気があった使いやすいメモ機能も採用

カメラの反応もいい。オートフォーカスを合わせてシャッターが切れるまでのスピードは0.3秒とスマホ最速だ。

高速データ通信ではLTEとWi-Fiを併用して動画像や音楽をダウンロードできるようにした。待ち時間のストレスも大幅に軽減する。

小型タブレット「ギャラクシー・ノート3」で人気があった書きやすいメモ機能もそのまま採用した。画面にペンで文字を書き込むとほとんど違和感なく瞬時に反映される。線の太さも選べ、簡単なメモであれば十分快適に使える印象を受けた。

アップルの先行く指紋認証

注目されるのが指紋認証ボタンの導入だろう。S5のボタンを指でなぞるだけで、端末のロック解除や決済などが可能になる。

ペイパルと提携し、指紋認証機能を生かした決済が可能になった

 指紋認証の搭載はアップルの「iPhone5s」を後追いする形だが、米決済大手ペイパルとの連携で技術の応用という意味では、むしろ一歩先に進んだ。

アップルの指紋認証が自社のコンテンツ市場でしか使えないのに対し、サムスンはペイパルの力を借り、多数のネット店舗での商品購入時に指でスマホをなぞると簡単に決済できるようになる。

ペイパルは約1.4億の口座を抱え、米国ではごく一般的に使われている。中国など新興国でも海外通販時の決済手段として普及している。

指紋認証機能をカギ代わりに使えば、パスワードよりも安全かつ確実に他人に知られなくない情報を保護できる。

子供にも安心してスマホを触らせられるように子供専用モードを導入した

S5ではスマホを子供が触る場面を想定し、キッズモードを導入した。子供向けの簡単な遊びができるソフトのみが表示され、それ以外の操作ができないようになる。

前モデルでは世界最先端を意識し、視線や傾き、ジェスチャーによる操作など、初心者にとって過剰ともいえる機能をいくつも盛り込んでいた。今回のS5では日常生活の中で使う場面を想定しやすい必要性の高い基本機能について重点的に改善を加えた。驚きはないが、非常に使いやすくなった点が評価できる。

心拍計を搭載、健康管理を提案

スマホでは心拍計を初めて搭載し、健康管理への応用にも力を入れている。体への負荷を科学的に確認しながら運動メニューをこなす楽しみを新たに提案するものだ。

センサーに指先をあてると心拍数を簡単に測れる。

 同時に発表したヘルスケアバンド「ギア・フィット」と連動し、自社の健康管理アプリ「Sヘルス」にデータを集約して、健康状態の変化を楽しめるようになっている。

ギア・フィットは曲面ディスプレーをデザインにうまく取り込み未来的な印象を出すことに成功している。特に高級に感じるほどではないが、安っぽさもない。

曲面有機EL画面を採用したギア・フィット。端末の裏側に心拍数を測るセンサーがついている
健康管理アプリではデータを自動で集め簡単に確認できる

ただ、ソフト面でまだ改善が必要だろう。ゲーム性や友人を巻き込むソーシャルな要素はまだまだ物足りない。多くの健康管理アプリは、健康マニア以外は長続きせず、爆発的な成功を収めた例はほとんどない。広く普及させるには毎日使ってもらうような工夫が必要だろう。

性能至上主義から脱却

筐体は細かな穴をドット状に並べ革のような質感を出した。カメラの下にあるのが心拍計のセンサー

S5はデザイン面でも大きな改善がみられる。筐体(きょうたい)はプラスチック製だが、表面には細かな穴がドット状に並んで開いており、光沢のある人工皮革のような質感に仕上がっている。手になじみやすく、従来のギャラクシーよりも高級感を出すことに成功している。

今回の新モデルは「利用者目線で性能を向上させる」というサムスンの方向性を明確に示している。高性能の端末を好む層以外にも訴求する全体的に魅力的な製品といえる。サムスンはスマホの成熟化で曲がり角にさしかかっていた性能至上主義を短期間でうまく修正しつつある。

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