2019年4月23日(火)

ITで輝く音楽ライブ 無線技術で会場が光の海に

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2014/1/15 7:00
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音楽ライブの会場にIT(情報技術)革命の波が押し寄せている。中でも進化が著しいのがペンライトだ。ソニーグループは運営側が無線制御できる発光ダイオード(LED)搭載型を開発。人気グループ「いきものがかり」の全国ツアーなどに導入し、色を刻々と変えて臨場感を高める演出でファンの心をつかむ。2012年の国内音楽ライブ市場は前年比17.3%増の1916億円で、13年もそれを上回り好調を維持したとみられる。ITとのかけ算でライブが盛り上がり足を運ぶ人が増えれば、音楽市場全体の底上げにつながる可能性もある。

■いきものがかりが全国ツアーで採用

ソニーエンジニアリングとソニー・ミュージックコミュニケーションズは無線制御できるLEDペンライトを共同開発。音楽ライブで導入例が相次いでいる

ソニーエンジニアリングとソニー・ミュージックコミュニケーションズは無線制御できるLEDペンライトを共同開発。音楽ライブで導入例が相次いでいる

「ワン、ツー、スリー。ワン、ツー、スリー」――。いきものがかりの代表曲「123~恋がはじまる~」が鳴り響く三重県の県営サンアリーナ。観客が一人ひとり持つペンライトの照明で会場全体が埋め尽くされ美しく輝いていた。約3カ月に及んだ全国13カ所25公演のツアー最終日の昨年12月8日、駆けつけたファンの一人坂元恵子さん(仮名、29)さん。吉岡聖恵さんの歌声に聞きほれると同時に、周りのファンが振るペンライトの幻想的な光景に思わず泣き出しそうになった。

「自分がまるで光のじゅうたんの上に乗ったかのよう。過去に行ったライブの中で一番心が躍った」という。彼女を含むすべての観客が手を左右に振ると光が揺れる。腕時計型のペンライトをはめているためだ。

開発したのはソニーのAV(音響・映像)製品の設計などを手がける専門会社ソニーエンジニアリング。無線通信に対応した最新式のペンライト「FreFlow(フリフラ)」がそれで、腕時計形に加えて通常の棒形のペンライトもある。特徴は腕時計形の場合で3万色を50段階の明るさ、棒形の場合で100万色を100段階の明るさに制御可能な点にある。滑らかに変化させたり高速点滅させたり、光の色と明るさの情報を送信機から無線で送るとほぼリアルタイムで変えられる。

基礎技術を作ったソニーエンジニアリングが、音楽イベントを数多く手掛けノウハウを持つソニー・ミュージックコミュニケーションズ(SMC)と共同で12年に事業化した。コンピューター制御によってリズムに合わせて「会場全体を同じ色で埋め尽くす」「エリアごとに変える」など、音楽ライブの運営側は舞台演出に合わせて自由自在に色を瞬間瞬間で変えられる。斬新な舞台演出が可能だとして口コミでアーティストの間に評判が広がり、最近になって導入事例が相次いでいる。

棒形に加え腕時計形(右)もある。腕時計形の場合、3万色を50段階の明るさに変えて点灯させられる

棒形に加え腕時計形(右)もある。腕時計形の場合、3万色を50段階の明るさに変えて点灯させられる

舞台の照明や街の電飾などを手がける新光企画(東京・港)の上山大輔氏は、電飾のプロとしてフリフラの魅力に取りつかれた一人だ。音楽ライブの舞台で既存の照明・電飾と客席のファンが持つペンライトを一体化させ、いかに印象的な演出ができるかに夢中になっている。

いきものがかりの事例もその一つ。アリーナ、1階席、2階席など座る場所によって観客を10グループに分割。各グループのペンライトに点灯させる色や明るさが変わるようにした。ボーカルの吉岡さんが「ワン」「ツー」「スリー」などと拍子をとると、リズムに合わせて会場全体で描き出す模様が刻々と変わる。あたかも巨大な一枚のネオンサインのように、だ。ファンは耳と目の両方でライブを楽しむことができ、会場はいつも以上に一体感あふれた。

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