2019年7月18日(木)

鴻海、中国・IT頼みから脱却 EMS巨象の魂胆

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2013/12/19 7:00
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台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が研究開発拠点を急ピッチで増やしている。電子機器の受託製造サービス(EMS)で世界最大手の同社。研究対象はスマートフォン(スマホ)などIT(情報技術)関連にとどまらない。自動車や医療、食品分野などと幅広い。主力のIT受託生産の成長が中国大陸の人件費の上昇などで鈍化するなか、研究開発力の向上を成長のカンフル剤にしたいとの思いが透けて見える。

■自動化で米国への生産回帰を後押し

「オバマ大統領の先端製造政策に賛同する」。鴻海の郭台銘董事長は11月21日、米国の首都ワシントンDCで高らかに宣言した。鴻海はこの日、北東部のペンシルベニア州ハリスバーグに産業用ロボットの研究開発・製造拠点を開設することを発表。今後2年間で総額4000万ドル(約41億円)を投じて約500人を雇用する。同州内の名門、カーネギーメロン大学との共同研究にも着手する。

米ペンシルベニア州への投資を宣言した鴻海の郭台銘董事長(11月、ワシントンDC)=中央通信提供

米ペンシルベニア州への投資を宣言した鴻海の郭台銘董事長(11月、ワシントンDC)=中央通信提供

「世界の工場」である中国では人件費がうなぎ登り。米アップルなど鴻海の主要顧客だったIT企業は米国政府の意向を受けて、部品工場などの生産拠点を米国に移し始めた。だがEMSでは生産コストに占める人件費の負担が大きく、中国生産のほうがまだ優位な点が多い。このギャップを埋めるために鴻海が目指すのが高機能ロボットの研究開発だ。自動化を進めて米国生産を可能にし、アップルや米アマゾン・ドット・コムといった顧客をつなぎ留める狙いがある。

鴻海はもともと研究開発に熱心な企業として知られる。台湾の経済部(経済産業省)が今月16日に発表した13年1~9月の特許申請件数は、鴻海が2078件で断然トップ。2位でEMS大手の緯創資通(ウィストロン)の321件などと比べてもその差は歴然だ。中国の対台湾の交流窓口機関である海峡両岸関係協会の陳徳銘会長が3日に鴻海の台湾本社を訪問した際には、郭董事長自らがカーボンナノチューブなど先端技術の研究現場を披露。陳会長を感嘆させた。鴻海はカーボンナノチューブを使ったタッチパネルを今年から実用化し、販売を始めている。

鴻海が相次ぎ開設している研究開発拠点
地域開設時期対象概要
米国ペンシルベニア州今後2年以内産業用ロボットカーネギーメロン大学と共同研究。医療や自動車用も視野
台湾新竹地区2013年末有機EL搭載のスマートフォン、医療用ロボット日本人技術者を活用。手術支援ロボットなども視野
高雄市2013年末~15年ソフトウエア、クラウド・コンピューティング2000~3000人の技術者を採用予定
中国河南省鄭州市2014年4~6月食品安全検査米分析機器大手のサーモフィッシャー・サイエンティフィックと合弁
日本大阪市2013年5月液晶パネル、タッチパネル鴻海が出資する堺ディスプレイプロダクト(旧シャープ堺工場)と連携

現時点の技術はIT端末関連の製造技術が主流だが、今後はハード領域にとどまらずソフトウエア分野にも手を広げる。12月中には台湾南部の高雄市のソフトウエアパーク内に、クラウド・コンピューティング向けのデータセンターを完成させる。15年にはその隣にソフト研究開発センターも完成する。

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