改革拒む伏魔殿マイクロソフト 次期CEOの「豪腕」頼み
UIEvolution 中島 聡

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2013/12/12 7:00
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「候補者を5人程度に絞った」「有力なのは2人」――。米マイクロソフトの後継CEO(最高経営責任者)選びが大詰めを迎え、米国では様々な予測が飛び交っている。現在のスティーブ・バルマーCEOが今年8月に「1年以内の退任」を表明し、早ければ年内、遅くとも来春までに後継者が決まる見通しだ。人選は霧の中だが、ひとつ断言できる。誰がCEOになってもいばらの道は続く、ということだ。

今のマイクロソフトは、変化や改革を拒む抵抗勢力が巣くう「伏魔殿」である。誰がCEOになろうとも同社が抱える問題を解決するのは至難の業だろう。長年の成功体験の影で閉鎖的な文化が社内に染みついているからだ。同社の再浮上には、こうした空気を一掃できる次期CEOの豪腕に頼るしかない。

■時代の流れが読めないトップは退場に

「(マイクロソフトの)CEOは38年の歴史上でわずか2人しかいない。スティーブ(バルマー)と私の2人が愛するマイクロソフトにふさわしい人を、ふさわしい時期に選ぶ」――。

ビル・ゲイツ会長が涙で声を詰まらせた。11月19日にワシントン州レッドモンドの本社で開いた株主総会でのひとこまだ。ゲイツ会長は集まった株主に対し特別委員会で進めている新CEO選びについて説明したが、その姿は晴れ晴れしさとはほど遠く、会社を巡る状況と後継者選定の厳しさを物語っていた。

2013年は米国を代表する企業のトップ交代が相次いだ。11月25日には米ウォルマート・ストアーズが国際部門トップだったダグ・マクミロン氏を新CEOに指名。10日には米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が次期CEOにメアリー・バーラ上席副社長を選んだばかりだ。

トップの交代が続くのは偶然ではない。急激に進むIT(情報技術)化がすべての業種に地殻変動をもたらしている。新しい技術・市場のトレンドに乗り遅れた企業は、歴史の長短にかかわらず容赦なく大波にのみ込まれ、流れについていけないCEOは市場から退場を迫られている。

「ウィンテル」と呼ばれた米インテルとマイクロソフトの2社もその不名誉な代表格だ。モバイルへの対応が遅れたことで存在感が急速に低下。インテルは5月にポール・オッテリーニCEOが退き、ブライアン・クルザニッチ氏に交代。マイクロソフトのバルマー氏退任も、この流れに続くものだ。

米国の株式相場はバルマー氏の退任を好材料と受け止め、低迷を続けていたマイクロソフトの株価は発表後に大幅に上昇した。ウィンドウズとオフィスのソフトウエア・ライセンスという90年代に作られた一昔前のビジネスモデルから脱却できない原因が、バルマー氏の経営手法にあると見ていた投資家が多いためだ。

しかし、CEOひとりが交代して流れが大きく変わるかというと、事はそう簡単ではない。市場独占にも近い成功を治めた企業に共通する宿痾(しゅくあ)をマイクロソフトも抱えている。

■見えてこない新ビジネスモデル

第1の問題は新しいビジネスを発掘する力を失ってしまったことだ。次期CEOが取り組むべき最大のテーマは、スマートフォンやタブレットなどモバイル・デバイスが台頭しパソコン市場が縮小傾向にあるなか、新たな収益源を見いだすことだ。しかも、ソフトウエアライセンスに匹敵する規模に短期間で育てなければ、投資家や株式市場の信任は得られない。

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