「乗り換え自由」のiPhone、アップルが国内発売
アップルは22日、スマートフォン(スマホ)「iPhone5s」「同5c」のSIMロックフリー版の日本国内での発売に踏み切った。同社の国内向けのiPhoneは、これまで特定の携帯電話事業者の回線でしか使えないSIMロック版のみだった。ユーザーはSIMフリー版を購入することで、契約したい通信会社を自由に選べるようになる。事業者を乗り換える際も手持ちのSIMフリー版iPhoneをそのまま使え、買い替える必要がなくなる。

これまでNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの通信大手3社は、iPhoneの販売価格を「実質0円」とするなど購入時のハードルを下げる一方、iPhoneにSIMロックを掛け、さらに中途解約金付きの2年契約を標準とすることでユーザーを囲い込んできた。アップルがSIMフリー版のiPhoneを扱うことで、大手3社は販売戦略の大幅な見直しを迫られそうだ。
値下げ競争激化も
近年は大手3社以外にも、プロバイダーなどが月額1000円を切る格安SIMを販売している。SIMフリーiPhoneはこうした格安SIMも使え、大手3社にとって重要な収益源であるパケット料金の値下げ競争に波及する可能性がある。
アップルは同日、日本市場向けのSIMフリーiPhoneの販売サイトを設け販売を始めた。iPhone5sの販売価格は記憶容量16ギガバイトのモデルが7万1800円、同32ギガバイトが8万1800円、同64ギガバイトが9万1800円。同5cは記憶容量16ギガバイトのモデルが6万800円、同32ギガバイトが7万1800円。
同社サイトでは、SIMフリーiPhoneについて通信3社のいずれの回線にも対応していると明記。その上で回線の契約義務がなく、「複数年のサービス契約を結びたくない場合や、海外で地元の通信事業者を使いたい場合は、SIMフリーのiPhoneを選ぶことをおすすめします」と案内している。
(電子報道部 金子寛人)