2018年11月16日(金)

見え隠れするジョブズ氏“遺言" アップル新製品の機能美

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2013/10/23 17:26
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米アップルが23日に発表した新製品群は、同社が各分野で今持つ力を出し切った幅の広いラインアップとなった。「まだ見せるものがたくさんあります」とあった記者会見の招待状の真相は、生前のスティーブ・ジョブズ氏が描いた海図に忠実にしたがったさまざまな製品群をとにかくすべて出すことだったわけだ。サプライズには乏しかったが、各製品とも機能美を徹底的に追求。ジョブズ氏の“遺言"がいまだに生き続けていることをうかがわせるラインアップだった。

アップルの原点であるパソコンは究極のスペックを小さなきょう体に収め「Mac Pro」として投入。同社が市場を切り開いた大型液晶のタブレットは性能を上げながら世界最薄・最軽量クラスを実現し「iPad Air」として生まれ変わらせた。そのほかパソコンOS(基本ソフト)に加え写真編集や音楽制作、表計算など数々のソフト群を一新し、クラウドサービス「iCloud(アイクラウド)」では一つのファイルを複数人で編集できるなどオフィスで役立つ機能を追加している。

「ハードとソフト、そしてサービスを組み合わせて誰にも作れない製品を作るのがアップルだ」。ジョブズ氏の後を継いだティム・クック最高経営責任者(CEO)は、米国で開いた記者会見でこう誇らしげに語った。その概念こそジョブズ氏が理想に掲げていたアップルの目指す姿そのもの。その集大成が招待状の背景にあった花びらのごとく「リンゴの花」が乱れ咲きした今回の新製品群だったといえよう。

■原点回帰したiPad Air

従来製品より20%薄く28%軽いタブレット「iPad Air」。ジョブズ氏が理想とした9.7インチ液晶を積んだ大型タイプを大幅に進化させた

従来製品より20%薄く28%軽いタブレット「iPad Air」。ジョブズ氏が理想とした9.7インチ液晶を積んだ大型タイプを大幅に進化させた

おまえたち、よくやったじゃないか――。もしジョブズ氏が生きていたら今日の会見をこう褒めるかもしれない。ジョブズ氏の子供たちは入れ代わり立ち代わり登壇し、総力戦で自身が担当する新製品の革新性をそれぞれ巧みにアピールしていった。同日午前、日本で行われたプレスイベントで会見の様子を録画中継で見たが、総括するとジョブズ氏が描いたIT(情報技術)革命の海図を“クック船長"が引き継ぎ、死後2年たってもなんら手を加えることなく忠実にかじ取りしたとの印象が強い。4~6月期だけで純利益約6900億円と有り余るキャッシュの力を借りて、ジョブズ氏の教えとして律義に守り続けたのが今のアップルだ。

期待が大きかったiPadは9.7インチ液晶を積んだ大型タイプをiPad Airと改名。名前の通り従来製品より20%薄く28%軽くした。ただし処理性能は2倍に向上、かつ10時間のバッテリー駆動は維持している。小型軽量化と性能向上という相反する要件を両立させた点に特徴がある。

大型液晶のタブレットは「7インチのタブレットはDOA(病院到着時に死亡)だ」と皮肉ったジョブズ氏が、タブレットの理想としてこだわった形。ジョブズ氏が亡くなった後投入したここ2世代の製品は、「レティーナ(網膜)」と呼ぶ高精細液晶を搭載したことで厚く重くなってしまい魅力が薄れていた。iPad Airによって本来あるべき姿に戻し、原点回帰させたととらえるのが正解だ。デザイン担当のジョナサン・アイブ上級副社長は「デザインと性能のパラドックスを解決するため準備に長い時間をかけた」と明かす。100分の1ミリメートル単位で微妙な調整を行ったといい、開発は一筋縄ではいかなかったようだ。

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