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NTTが「光」挽回へ 速度10倍の新装置、来年度にも実用化

NTTが東西地域会社で展開している光ファイバー回線のインターネット接続サービス「フレッツ光」の巻き返しに向け、着々と準備を進めている。現行の光ファイバー網と比べ最大10倍の速さで通信できる新装置を2014年度にも実用化。柔軟に光ファイバー網を構築しやすくなる工夫も取り入れる。フレッツ光はスマートフォン(スマホ)向けLTEサービスの普及で契約数が伸び悩む。新装置によってNTTは運用コストを大幅に削減でき、毎秒10ギガ(ギガは10億)ビットもの超高速サービスを安価に提供可能になる。「フレッツ光の逆襲」がこれから始まりそうだ。

10ギガサービスを安価に提供

NTTが披露した、「10G-EPON」方式の次世代光ファイバー網。1台の電話局側装置に10Gbpsを7回線、1Gbpsを120回線収容し、4Kの高精細映像を伝送できることを示した(18日、茨城県つくば市)

同社が17~18日に茨城県つくば市で開催した技術展で「10G-EPON」と呼ぶ方式の次世代光ファイバー網の実演展示を行った。現行のフレッツ光で採用している「GE-PON」方式の後継となるものだ。PONとは複数の利用者で1本の光ファイバー回線を共有する技術の一つ。網の途中に分岐装置を設置することで複数の家庭や中小企業のオフィスに分岐できるようになる。網を効率的に構築するためのアイデアだ。

新型の10G-EPONが現行設備と違う点は3つある。(1)分岐できる上限を32から128に増やした(2)家庭やオフィスに提供できる最大通信速度を毎秒1ギガビットから10ギガビットへ引き上げた(3)個々の家庭やオフィスに割り当てる通信速度を自由に調節できる――というものだ。

まず(1)では1系統の光ファイバー網で4倍の利用者を収容可能になる。結果として局側に用意すべき設備を減らせ、運用コストを大幅に安くできるメリットがある。(2)については、家庭や中小企業向けの光回線は、今のところ競合他社も含めて最大1ギガ~2ギガ止まり。そんな中、圧倒的に高速なサービスを提供可能になる。加えて(3)により、例えばAさんは100メガ(メガは100万)にして安くし、Bさんに対しては上限の10ギガで高い料金を得るなど柔軟な料金戦略をとりやすくなる。

提供開始当初はライバルが少なかったフレッツ光だが、ここ数年は他社との間で利用者の奪い合いが激しくなっている。KDDI(au)や関西電力子会社のケイ・オプティコム、ソニー子会社のソネットなどが光ネット接続サービスに相次ぎ参入。キャンペーン適用で月額4000円台など安さを武器に積極的な販売戦略を展開している。

NTT東西も対抗して安価な料金プランや入会キャンペーンを打ち出す。当初は5000円台だった月額料金は、現在は2年契約などの条件付きながら3000円台に。ただそれでも契約数は伸び悩み、採算性の低下が懸念されている。

10G-EPONの実用化によって、NTTに運用コストの削減とプランの多様化という明るい光が差し込む。他社より高速なサービスが提供可能になるほか、安さを評価して今もADSLCATV回線を使い続ける消費者に対し、置き換えを狙った低価格キャンペーンを打ち出せる。LTEで同様の利用者層を狙う携帯電話会社に対して一矢を報いることも難しくない。

4K普及が起爆剤になるか

競合増加で光ネット接続サービスの契約者数が伸び悩むNTT。新装置を切り札に逆襲をかけたい考えだ

10G-EPONを実用化するめどについてNTTは明らかにしていない。ただ技術展では127台の端末を並べ、実際に分岐して動作する様子をデモンストレーション。フルハイビジョンの約4倍の解像度を持つ4Kと呼ばれる高精細動画を途切れることなく伝送できることを証明した。説明員は「開発はほぼ完了している」と胸を張る。国際機関による技術の標準化や対応機器の互換性試験も順調に進んでおり、早ければ14年度にも完了する見通しだ。

足元では、4K対応の高精細テレビの売れ行きが好調だ。16年のリオデジャネイロ五輪では4Kによる中継も見込まれる。しかし、4K映像を1本流すには毎秒30メガビットの通信容量が必要。LTEが進化したとしても4K映像を安定して観るのは難しい。「1軒の家庭に4K映像を100本同時に伝送するようなサービスが始まる日も案外遠くないだろう。10G-EPONならば、そうしたニーズに応えられる」(説明員)。4K普及をきっかけに光ファイバーの価値が見直されれば、再び需要を拡大できるかもしれない。

(電子報道部 金子寛人)

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