エイベックス、サムスン口説く 野望は「配信で世界へ」

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2013/10/16 21:45
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エイベックス・グループ・ホールディングスが音楽制作・販売に依存した収益構造からの脱却を急いでいる。16日に発表した韓国サムスン電子とのパートナーシップでは、世界展開も視野に入れたスマートフォン(スマホ)向け音楽配信で手を組むことを発表。サムスンのスマホ「ギャラクシー」シリーズ専用サービスとしてまず国内で提供を始める。それを足がかりにアジアを中心に対象国・地域を拡大する計画だ。

最終的には世界で累計1億台以上販売したギャラクシーの全利用者を顧客として取り込むことを目指す。壮大なゴールを描くが林真司代表取締役チーフブランディングオフィサー(CBO)は「今回の提携は始まりにすぎない」と語り鼻息が荒い。

■実はドコモとソフトバンクの動画配信ですでに実績

16日に韓国サムスン電子日本法人は都内でスマホ「ギャラクシー」などに関する記者会見を実施。エイベックス・グループ・ホールディングス林真司代表取締役CBO(右)が登壇し、新しい音楽配信サービスを発表した

16日に韓国サムスン電子日本法人は都内でスマホ「ギャラクシー」などに関する記者会見を実施。エイベックス・グループ・ホールディングス林真司代表取締役CBO(右)が登壇し、新しい音楽配信サービスを発表した

サムスンが評価したのはコンテンツ調達力と配信基盤の技術力。エイベックスはここ数年で独自に音楽や映像の配信基盤を構築し、既にNTTドコモやソフトバンクから配信事業の運営を請け負った実績がある。それを武器に国内のみならず世界の配信基盤を一手に引き受けられれば、安定した経営の柱に育つ可能性が高い。今回世界屈指の携帯電話会社であるサムスンも味方につけたことで、同社は楽曲の提供や宣伝が中心だった従来の枠組みを離れ、新しい収益構造を持つ「ネオ・レコード会社」へと飛躍しようとしている。

名称は「GAmusic」。ギャラクシーシリーズ専用サービスで月額350円の有料。邦楽や洋楽などを幅広くそろえ聴き放題で楽しめる

名称は「GAmusic」。ギャラクシーシリーズ専用サービスで月額350円の有料。邦楽や洋楽などを幅広くそろえ聴き放題で楽しめる

エイベックスを突き動かすのは音楽産業に対する危機感だ。CDなど音楽ソフトの市場規模は1998年をピークに減少傾向が続く。アーティストの楽曲を作りCD店や配信業者に卸すだけではいずれ立ち行かなくなるとみる。活路を切り開くべく目を付けたのが、国境を越えて伸び盛りのコンテンツ配信を下支えする黒子役という立場である。

一方、激烈な端末開発競争を繰り広げるサムスンにとって、米アップルらに伍(ご)するために何よりほしいのがコンテンツ。アップルは音楽・動画配信の「iTunesストア」やアプリ配信「アップストア」を自ら提供することで独特の生態系を作り上げ、顧客を囲い込む。これまでの端末機能開発競争が一段落した今、強力な生態系つくるためにはコンテンツ配信のエキスパートを陣営に引き込まねばならない。安定した運営実績に加え顧客をひき付けるだけのコンテンツを豊富に調達できるエイベックスは、もってこいのパートナーだった。

配信基盤のさらなる拡大を目指したいエイベックスとサムソン。両社の思惑が一致したことでパートナーシップが実現した。

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