生中継で色めく音楽ライブ サザン復活で映画館に6万人

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2013/10/11 7:00
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IT(情報技術)の進化が音楽ライブの世界に新風を吹き込んでいる。ライブ会場と全国の映画館を通信回線でつなぎ、ライブの様子をそのまま生中継する「ライブビューイング」がここ数年で急増。チケットを買いそびれたり会場までの距離がネックであきらめたりしていた熱心なファンばかりでなく、ライブに及び腰だったライト層の取り込みにも一役買っている。数日に1回はなにかしら開催しており、映画館のライブビューイングの市場規模は2012年に50億円と10年比の5倍に伸長している。アーティスト側もファンと絆を深めつつ新たな収益源になると期待しており、開催に積極的になってきた。新たなライブへの参加の姿として根付くことで、音楽ライブ市場は今後ますます盛り上がりそうだ。

■「アバター」が映画館をライブハウスに変えた

映画館でライブ会場の様子を生中継する「ライブビューイング」を楽しむ人が増えている

映画館でライブ会場の様子を生中継する「ライブビューイング」を楽しむ人が増えている

「北海道の札幌のみんな、盛り上がってるかい?福岡の天神、そっちはどうだい?」――。5月末、人気男性歌手の平井堅さんは映画館のスクリーンを通じて、全国34カ所にいるファンに呼びかけた。恒例の「Ken'sBar」と題した公演を日本武道館で開催した際の一コマだ。平日だったことから、武道館に足を運ぶことができない各地のファンへのサービスの一環として、ライブビューイングを今年初めて活用した。

目の前にアーティストがいるわけではないが、映画館が備える高い品質の映像・音響設備のおかげで楽曲や会場の雰囲気は生々しいほど忠実に再現されるのがライブビューイングの魅力。加えてマイクパフォーマンスで映画館ごとにそれぞれ呼びかける試みも手伝ってファンは大喜び。日本武道館の会場にいるファンと全国の映画館のファンは、隔てなくアーティストを中心に一つにまとまった。

映画館でのライブビューイングが実現したのは、光回線経由で上映用のデータを受け取れるデジタル設備が広がったためだ。3D(3次元)に対応したSF映画「アバター」の公開をきっかけに各地の映画館は従来のフィルムの使用を相次ぎやめた。その結果、通信回線を有効活用しさまざまなネット連携を模索できる土壌が整った。

音楽ライブを開く会場もデジタル化が進む。音響機器や舞台の様子を映し出す巨大スクリーンの制御はデジタルで行うようになり、光回線を引き込んでネットの機能を活用するのも一般的になった。スクリーンに映し出すためや後日発売するDVDやブルーレイ用に収録するためのビデオカメラもデジタルで進化。巨大スクリーンやDVD用の映像をそのまま音声付きで通信回線に流せば、簡単に映画館へと届けられる。

送り手と受け手の双方でデジタル設備が整ったことで、ライブ会場も映画館も特別な装置やコストをかけずにライブビューイングに乗り出すことができる。ライブ会場から映画館にデータが届くまでの遅延はわずか0.5秒でほぼリアルタイム。簡単に高い品質で全国へ生中継できる環境がITの進化によって整った今だからこそ急激に盛り上がったといえよう。

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