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PC業界、なるか起死回生 「虎の子」デスクトップ送り出す

販売不振が続くパソコンメーカーが、秋冬商戦で起死回生の一手を打とうとしている。富士通とソニーは8日、相次ぎ新製品発表会を開催。両社がそろって目玉の製品として位置付けたのが、超大型の板状パソコン。タッチ操作に対応した液晶のサイズは約20インチとタブレット(多機能携帯端末)の2倍以上もある。家庭のリビングルームでテーブルの上に横置きする使い方をイメージしている。ソニーは「テーブルトップ型」と名付けるなど、一人だけでなく家族みんなで楽しむ新しいパソコンの姿として提案していく考えだ。スマートフォン(スマホ)やタブレットにはない、パソコンならではの魅力を打ち出し秋冬商戦に臨む。

普段は立てかけ、家族共有時は横置きに

ソニーが発表した「VAIO Tap21」は2人が並んで同じ下絵の塗り絵を描くなど、複数人で楽しむためのソフトを付属させた(8日、東京・渋谷)

ソニーが19日に発売する「VAIO Tap21」は21.5インチの液晶を搭載。普段は一般的なデスクトップパソコンように液晶部を立てておき、無線タイプのキーボードやマウスとセットで用いる。家族で共有する際には、液晶部を傾けると液晶の背面にある「フリースタイルスタンド」と呼ぶ機構によりスタンドに触れることなく横置きの状態にできる。角度は自由な位置に調節することも可能だ。

この特色を生かそうと、新たにソフトを開発し標準添付した。たとえば「バイオテーブルトップ」は液晶画面を机に見立てて、写真や動画などを並べてみんなで楽しむというもの。4方向から使う前提で設計しており、家族で囲んで旅行に行った思い出を写真を再生して振り返るなどが可能だ。気に入った写真と動画を使ってショートムービーを共同制作もできる。

このほか画面を左右に分割し、2人で同じ下絵を使って塗り絵を描ける「ファミリーペイント」や、パソコン本体のカメラなどを使って声や動画を記録して家族の予定を一括管理できる「フィンガータップス オーガナイザー」なども用意した。ソニーの赤羽良介業務執行役員は「スマホやタブレットの快適さなどのエッセンスを加え、パソコンを新しい形に変化させる」と意気込む。

本体の厚みは約35.5ミリメートルとデスクトップパソコンとしては薄くし、重さも約4キログラムに抑えた。「配線を気にせず、使いたい場所に自由に持ち運んで使ってほしい」(ソニー)との思いから、デスクトップ型としては珍しくバッテリーを搭載。最大で約4時間連続して使えるように配慮した。市場想定価格は16万~20万円前後。

富士通が一押しに据える「ESPRIMO WH77/M」は厳密には板状ではないが、液晶をほぼフラットに平置きできるデスクトップパソコンだ。液晶は21.5インチで角度を9~62度まで自由に傾斜させられる。平置き近くまで倒した場合、液晶の下側に本体部分がたたみ込まれる形になる。

特徴は重い液晶を手軽に倒したり戻したりできるよう、独自開発した「アジャストスライダー」と呼ぶ機構を採用したこと。指1本など「軽い力でもスムーズに倒せる」(富士通)という。市場想定価格は22万円強。18日に出荷を始める。

前年比1割減のデスクトップ型、救世主として期待

画面を見やすい角度に変えられる富士通の「ESPRIMO WH77/M」。主婦がテーブルに肘をかけながら気軽に電子チラシを閲覧するシーンでも役立つとみている(8日、東京・千代田)

電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2013年4~6月のパソコン国内出荷台数は前年同期比18.1%減の229万2000台と不調。タブレット需要拡大の影響を直撃したデスクトップ型も同9.6%減と落ち込んだ。製品発表の記者会見の席上、ソニーの赤羽業務執行役員は「(当初の販売台数の予想)達成は容易ではない」ことを明らかにした。同社は14年3月期の販売予想を、従来の620万台から下方修正する可能性もあるという。

起死回生を狙って各社が投入する超大型の板状パソコン。日本ヒューレット・パッカード(HP)も8月から販売中だ。日本HPの室裕朗コンシューマービジネス本部製品部長は「パソコンに求める客のニーズが多様化しており、それに合わせてさまざまなデバイスを用意しなければならない」といち早く投入した意図を説明する。その答えの一つが家族で同時に使えるテーブルトップタイプというわけだ。新しいパソコンの姿として定着するかどうか。店頭に製品が並ぶ今秋以降、答えが明らかになる。

(電子整理部 鈴木洋介)

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