日テレ出資ベンチャーに聞く 大企業との未来志向な「交際術」
編集委員 村山恵一

(1/2ページ)
2013/10/3 7:00
保存
共有
印刷
その他

日本でもIT(情報技術)分野を中心に起業をめざす人が増えている。最近では、スタートアップ(ベンチャー企業)とは距離をとってきた大企業が、積極的に共同歩調をとるケースも目立ってきた。そのねらいはどこにあるのだろうか。

9月に日本テレビ放送網から1億円を超える出資を受けたのが、スタートアップ企業の支援を手がけるCreww(クルー、東京・港)。スタートアップを取り巻く環境や、大企業との関係づくりについて、クルー創業者である伊地知天(いじち・そらと)最高経営責任者(CEO、30)に聞いた。

Crewwの伊地知天CEO

Crewwの伊地知天CEO

――日テレへの第三者割当増資で1億2070万円を調達した。

「きっかけは5月に始めた日テレとのコラボレーション(協業)だ。日テレの新規事業プランを、クルーに登録するスタートアップから募るという内容で、60社以上からいろいろなプランが集まった」

■日テレ出資は起業家にチャンス

「日テレは多額の予算をとって新規事業を模索しており、スタートアップのエコシステム(生態系)にも関心を寄せている。めざすところはクルーと同じで、継続的にコラボすべきだと感じた。もっと一緒にやりませんか、と今回の資本提携の話になった」

「日テレは開局60年という歴史があるが、ベンチャー投資は過去に例がないという。それでも新しいことに挑戦するのが大事と出資を決めたと聞いている」

「取り組みの具体策はこれから考えるが、ビジョンは両社で共有できている。(日テレとの関係ができたことで)クルーに登録する700社のスタートアップにもチャンスが広がり、クルーの価値は向上する。スタートアップコミュニティーが盛り上がる」

――調達した資金の使い道は。

「ふたつある。まず、必要なソフトなどをスタートアップに安く提供するマーケットプレイスを充実させたい。現在は15商品ほどだが、年内に100商品まで増やす。事業の柱にする」

「もうひとつはウェブサイトの翻訳だ。中国語や英語、韓国語など5カ国語に対応し、日本のスタートアップ情報をアジアの国々に伝えたい。スタートアップにとってチャンスはいたるところに転がっている。日本の情報を外に出すことが大事だ。ゆくゆくはアジアのスタートアップにも登録してほしい」

――クルー自身も2012年8月にできたスタートアップ。1年を振り返ると。

「スタートアップを取り巻く環境は確実によくなっている。かねてベンチャー企業は信頼、信用してもらうことが事業を進めるうえでの壁だが、最近の大企業は過度の与信チェックを求めてこなくなった。スタートアップと取引することへの警戒心を解いてくれているように思う」

■大企業と相思相愛の関係に

「(スマートフォン決済サービスの)コイニー(東京・港)がクレディセゾンから出資を受けるなど、スタートアップと大企業が手を組む事例が増えた。そういう情報に触れることで、大企業がスタートアップに一段と目を向け、スタートアップ側も大企業と仕事がしたいと考えるようになる。そういう流れができている」

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]