薬のネット販売で見える IT日本の「抵抗勢力」

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2013/9/26 7:00
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インターネット通販最大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)が24日から一般用医薬品(大衆薬)の販売を開始し、今後いっそうの普及が見込まれるネット販売。この大衆薬のネット販売に関する販売ルールについて、厚生労働省での検討会などの議論を経て、このほど大筋がまとまった。この過程を検証すると、日本のIT(情報技術)利用がなかなか進まない"犯人"が見えてきた。

■1月に実質解禁

販売ルール策定作業グループでは有人店舗の義務付けなどで大筋合意した(9月20日、東京都港区)

販売ルール策定作業グループでは有人店舗の義務付けなどで大筋合意した(9月20日、東京都港区)

薬のネット販売については、1月に最高裁が大衆薬の販売を一律に規制した厚労省令を違法と判断。安倍晋三首相が6月に安全ルールを確保した上で全種類の大衆薬を解禁すると表明し、ネット販売と対面販売に差を付けずに検討することを閣議で決定した。

司法が判断を下し、政府が決断した以上、ネット販売の全面解禁に向けた作業を進めるのが民主主義国家本来の姿。だが、日本はそうではないようだ。

大衆薬のネット販売を巡って慎重な厚労省は、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を2~5月の間に全11回開催。その後「一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ」として8~9月に全4回で具体的なルールを決める会合を開いた。

■解禁に消極的な厚労省

「ネットで売る、売らないを議論する場ではないはず。それは既に結論が出ている話だ」。推進派の国重惇史・新経済連盟顧問(楽天副社長)は9月2日の作業グループで厚労省の担当者にくぎを刺した。

この検討会とは別に、医療用医薬品から転用したばかりの薬など28品目について議論している「スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合」。8月23日の会合では「ネットで販売すべきではない」などと話を蒸し返す意見が次々に出され、議論は進まなかった。

産業競争力会議であいさつする安倍首相(9月20日午後、首相官邸)

産業競争力会議であいさつする安倍首相(9月20日午後、首相官邸)

一般用としてはまだリスクが不明で長期間服用しないよう注意が必要というのが表向きの理由だが、それは実店舗でも起きうる問題。政府が『日本再興戦略』に盛り込んだ「慎重な販売や使用を促すための仕組みを検討する」という本来の役割を果たしていない。

こうした動きを見透かした政府の規制改革会議は9月12日、厳しい言葉で注文を付けた。「28品目についてネット販売が制約される方向で議論が進められる懸念がある。ネット販売と対面販売とに不合理な差を設けることは、閣議決定の趣旨に反する」

規制改革会議は法律に基づいて設立された首相の諮問機関で、専門家会合よりも優先される立場にある。だが、同会議がぶつけた意見に対して、田村憲久・厚労相は記者会見で「粛々と進めていく」と述べるにとどめた。

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