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「夢のお告げ」は実在する 脳科学で仕組みを解明

日経サイエンス

「夢のお告げ」という言葉があるが、目覚めている時に思いつかなかったインスピレーションや課題解決のヒントを夢から得られることが確かにあるようだ。

有名な例は、ベンゼン分子が亀の甲羅のような円環構造をしていることを夢で考え付いた化学者ケクレの経験だろう。芸術の世界にも同様の逸話は多く、ベートーベンやポール・マッカートニー、ビリー・ジョエルは、目覚めた時に新しい楽曲が湧いて出たという。

レム睡眠時に常識の枠が外れる

なぜ夢でこのようなことが可能なのか。夢を使った能力開発や課題の解決はどこまでできるのか。ここ10年ほど、脳科学の研究成果をもとにそうした研究が進展している。

人が夢を見るのは「レム睡眠」の時期だ。レム(REM)とは急速眼球運動の略で、この時期には眼球が活発に動き、脳の活動も覚醒時と同じ水準に高まっている。

ただ活性化している脳領域は覚醒時とは異なる。夢を見ているときは、大脳皮質のうち視覚や動きの感知に関わる部分が活発に活動する。情動に関連した部分の活動も活発だ。

対照的に、意思を伴う行動や、論理的・社会的に適切かどうかの判断に関係した領域(前頭前野背外側部)はあまり活動しない。このひとつの解釈は、思考を論理的で既知の事柄に制限している「思考の抑制作用」が弱まり、常識にとらわれない思考をすることで、独創的な発想や、問題解決が導かれるというものだ。

 米国の心理学者が学生を使い、様々な課題を学生に選ばせて睡眠をとってもらうという実験を実施した。すると、被験者の半数が問題に関する夢を見たことを報告。その3分の1が夢に答えが現れたと答えた。

治療法として注目「明晰夢」

特別なタイプの夢として「明晰(めいせき)夢」というものがある。自分が今夢を見ていることを認識でき、場合によっては、夢の展開を思い通りにコントロールできるものをいう。

この夢を見る頻度は多くないが、寝る前にイメージ訓練などをすることで、明晰夢を見る回数を増やすことができる。

明晰夢は不安障害や悪夢障害といった症状を和らげる療法として注目されている。明晰夢を見るときはそれが夢であることを自覚しているわけだが、不安の対象から距離を置くことによって、客観視することができるようになるようだ。

また、夢の中では通常は不可能な動作が自由自在にできるため、明晰夢を通じて運動選手がトレーニング効果を高めることにも利用されているという。

問題解決に夢を使うための訓練法
1、問題の内容を簡単に書いたメモをベッドの横に置いておく
2、ベッドに入る前、その問題について2~3分おさらいする
3、ベッドに入ったら、問題を明確なイメージとして視覚化することを試みる
4、眠りに落ちる際、その問題に関する夢を見たいと自分に言い聞かせる
5、目覚めてもしばらく横になったままで、できるだけ多くの夢を思い出し、内容を書き出す

(詳細は25日発売の日経サイエンス11月号に掲載)

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