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「地球史上最大の絶滅事件」に新説 2億5000万年前の謎

日経サイエンス

今から6500万年前に、恐竜など多くの生物種が死に絶える事件が起きたことは比較的知られている。だが、それをはるかに上回る地球史上最大級の絶滅事件が、約2億5000万年前にあったことをご存じだろうか。この事件では、有名な三葉虫など海洋生物種の実に96%が絶滅したといわれている。

約2億5000万年前というと、地質年代でいうと古生代の末期にあたる。6500万年前に発生した恐竜の絶滅に関しては、巨大隕石(いんせき)の落下による地球環境の急変が原因とみられているが、古生代末には巨大隕石が落ちた確かな証拠は見つかっていない。

では、いったい何が原因で多くの生物が姿を消したのか。様々な研究が行われてきたが解明されていない。そうした中、東京大学の磯崎行雄教授が新たな仮説を提唱、注目を集めている。統合版「プルームの冬」と呼ばれる仮説だ。

海洋プレートの残骸が沈み地球を急冷

地球は半径約6400キロメートルの卵に例えられる。卵の黄身と白身、殻に当たるのが、それぞれ中心核、マントル、地殻だ。また地球表面の約7割を占める海は、地殻とマントル最上部が合わさってできた海洋プレートで構成される。

海洋プレートは長大な海底山脈(中央海嶺)で生み出され、大陸の手前にある海溝から沈み込む。沈み込んだ海洋プレートはマントル内部の深さ約670キロメートルで滞留し、滞留する海洋プレートが増え続けて臨界量に達すると一気に下降して、深さ約2900キロメートルのマントル底部まで落ちる。

古生代末より少し前の時代に、そうしたことが起きたと磯崎教授はみている。

 海洋プレートは長い間、地球表層で冷やされていたので、マントルに沈み込んだ後も、周囲より温度が低い。マントルの底に落ちた海洋プレートの残骸は、中心核の外側の一部を急冷し、それによって地球磁場が変化する。

具体的には磁場強度が低下し、大量の宇宙線(宇宙を飛び交う高エネルギー粒子)が大気圏に侵入するようになったと考えられる。宇宙線は大気分子に電気を帯びさせ、それらが雲粒(雲を構成する水滴や氷晶)の核となった結果、大量の雲が発生して太陽光の入射量の低下、すなわち寒冷化が起きた。

大量のマグマを生み出す「スーパープルーム」

その間にも、地球内部では新たな変化が始まっていた。滞留していた海洋プレートの残骸がマントル底部まで落下するのと入れ替わりに、マントル下部にあった熱い物質が上昇し始めた。

これを「スーパープルーム」という。

スーパープルームは、当時の地球に存在していた巨大な大陸「パンゲア」の直下に達し、そこで大量のマグマが発生、爆発的噴火が広域で起きて塵(ちり)が大気上層に運ばれ、地球全域を覆うことで急激に寒冷化が進んだ。

つまり当時の地球では2段階のプロセスで寒冷化が進み、最終的に大絶滅がもたらされたと磯崎教授は考えている。

(詳細は24日発売の日経サイエンス10月号に掲載)

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