CO2削減へ一歩 石炭産業と戦う覚悟決めたオバマ
三井物産戦略研究所シニア研究フェロー 本郷 尚

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2013/8/23 7:00
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6月下旬、オバマ米大統領が気候変動に関する「行動計画」を発表した。自らも参加した2009年の第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15、コペンハーゲンで開催)を最後に、この問題から遠ざかっていた感があった。再び積極策に転じた背景には、急速に開発が進むシェールガスの存在があるといわれる。

天然ガスは石炭や石油・ガソリンなどに比べて利用時の二酸化炭素(CO2)排出量が少ない。既存の石炭火力発電所をガス火力に代えれば半分以下に、また大型トラックが燃料を軽油から天然ガスに代えれば20~30%減らすことができる。ガスへの転換が進めば、米国が掲げる20年に17%削減という国際公約に大きく近づく。

「エネルギー政策を通じた環境問題への対応」が行動計画の基本戦略であり、そのカギは石炭が握る。米国の電力の3割近くは石炭で賄われるなど石炭産業は重要な産業であり、政治力も強い。ガスへの転換は死活問題であり、「オバマ大統領と石炭産業の戦争」と言われるほど対立は深まっている。

そこで注目されているのが世界最大のCO2排出国の中国だ。電力の9割近くが石炭であり、世界のCO2排出量の2割が中国の石炭利用に由来する。しかもエネルギー需要は伸びており、世界最大の石炭輸入国となっている。

今年7月、ワシントンで開かれた米中戦略・経済対話の中で、発電所の高効率化や発電所から排出されるCO2を回収し、石油開発に利用するほか、地中に隔離するCO2地下貯留(CCS)などの環境協力が協議されている。中国でCO2対策を進めることを前提に、増大する中国のエネルギー需要を米国のシェールガスや石炭が埋めるというシナリオに見える。

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