2018年12月15日(土)

ソーシャルゲーム、バブル崩壊後の過酷な競争
ジャーナリスト 新 清士

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2013/8/19 7:00
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ソーシャルゲーム市場が激変の時代を迎えている。市場の伸びは鈍化しており、顧客を奪い合う競争は激化している。顧客を呼び込むには、多額の開発費をかけてゲームを開発し、テレビCMなどに膨大な広告宣伝費をかける必要がある。伸び悩む市場と膨らみ続けるコストの中で、ゲーム各社は強気一辺倒から一転、慎重な経営のかじ取りを求められている。

■グリーの4~6月期、上場来初の最終赤字

ディー・エヌ・エーやグリーは従来型携帯電話向けからスマートフォン向けにゲーム開発をシフト。結果として開発費や広告宣伝費の高騰に悩まされることになった

ディー・エヌ・エーやグリーは従来型携帯電話向けからスマートフォン向けにゲーム開発をシフト。結果として開発費や広告宣伝費の高騰に悩まされることになった

ソーシャルゲーム市場の苦境を象徴するのが、このほど発表されたグリーの決算だ。2013年4~6月期は上場以来初めて最終赤字になった。海外拠点の閉鎖や不振が続くゲームタイトルの資産価値の減損で多額の特別損失を計上したためだ。「ソーシャルゲームのビジネスは世界で通用する」(田中良和社長)と高らかに宣言して海外に打って出たものの、思ったような成果は上がらなかった。

国内でも、スマートフォン(スマホ)対応が遅れ、目立ったヒット作を生み出せなかった。本業のもうけを示す営業利益は四半期ベースで2012年1~3月期の245億円をピークに減り続け、77億円と3割程度の水準に落ち込んだ。ゲーム開発の要であるエンジニアも採用抑制と自然減(月間20~30人)で抑え込む方針だ。ソーシャルゲーム2強のもう1社、ディー・エヌ・エーの決算説明会でも、守安功社長が繰り返したのは、「(コストの)コントロール」という言葉だった。

調査会社の矢野経済研究所によると、2013年のソーシャルゲーム市場は前年比10%増の4256億円になる見通しだ。成長は続くものの、2倍以上に伸びた11年、37%増だった12年に比べると急減速した印象は否めない。すでに国内のソーシャルゲーム市場は、飽和状態になっているとみられていたが、はっきりとその姿が明らかになってきた格好だ。

■開発費は昔1000万円、今1億円

そもそも雲行きが怪しくなってきた原因の一つは、ソーシャルゲーム市場の推進役を担ってきたスマホの急速な普及にある。昨年後半からスマホ所有者が爆発的に増え、ゲーム会社が重きを置いてきたフィーチャーフォンと呼ぶ従来型携帯電話機の地位は加速度的に下がった。スマホの世帯普及率は11年の約30%から12年には約50%に上昇。

日本オンラインゲーム協会(JOGA)が7月23日に発表したリポートなどによると、フィーチャーフォンのゲームユーザーは減少し、スマホでゲームをする人は増加している。

既存のソーシャルゲーム各社はこれまでのノウハウが通じず、十分にスマホユーザーをつかみきれていない。そうした中、LINE(東京・渋谷)やガンホー・オンライン・エンターテイメント(東京・千代田)など"新参者"がスマホに特化したソーシャルゲームを相次ぎ投入し勢力を伸ばす。グリーやディー・エヌ・エーは、ゲームチェンジしなければならない局面を迎えている。競争は激化の一途をたどっている。

ソーシャルゲーム市場が急速に立ち上がったのは2008年から09年にかけて。当時は1作品当たり1000万円程度の開発費をかければよく、基本的な部分を作り上げるのにかかる日数もわずか3週間程度だった。利用者ニーズを見極めたら、力業で開発して迅速にサービスに入る。さらに走りながらユーザー行動を分析してゲームに修正を加えどんどん魅力を増していく――。これこそが必勝パターンであり、増収増益の原動力となっていた。09年に登場したディー・エヌ・エーの「怪盗ロワイヤル」や11年に登場したグリーの「探検ドリランド」は、その代表格である。

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