原発再稼働の焦点、「活断層」議論かみ合わず
編集委員 滝 順一

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2013/7/24 7:00
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原子力発電所の新規制基準に基づく安全審査がスタートした。審査の焦点になると思われるひとつが、原発敷地内や敷地周辺の活断層の問題だ。活断層の有無をめぐっては、かねて懸案を抱えていた日本原子力発電の敦賀原発など4カ所について、原子力規制委員会による調査が昨秋から先行している。ただ作業が円滑に進んでいるとは言えない。例えば東北電力の東通原発1号機(青森県東通村)は、5月半ばに6回目の有識者会合を開いてから足踏み状態が続く。現地報告をまじえつつ、活断層評価をめぐる問題を整理してみた。

■「木を見て森を見ない面があった」

東北電力の東通原発は下北半島の先端近く、太平洋に面している。北側は東京電力の東通原発の敷地と隣接する。

東北電力の東通原発は下北半島の先端近く、太平洋に面している。北側は東京電力の東通原発の敷地と隣接する。

東通原発は下北半島の先端近く、太平洋に面する。敷地面積は南北に長く、約358万平方メートル(東京ドーム約76個分に相当)と広大。敷地の北端に1号機(出力110万キロワット)がある。北側は東京電力の東通原発の敷地と隣接する。

「木を見て森を見ないような面があったのではないか」。4月18日に開いた同原発の「敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合」第4回会合で、座長を務める島崎邦彦・原子力規制委員長代理はこう指摘した。東通1号機の建設を認めた過去の安全審査に対する批判と受け取れる発言だ。この指摘は、活断層問題に関して規制委と東北電力のとらえ方の違いを端的に示す。

東北電力はボーリング調査などで得た試料をもとに活断層の疑いがある地形について個別に否定を試みてきた。一方、規制委が指名した4人の有識者は東北電力の敷地だけでなく、東電の敷地を含めた広い地域全体を眺めわたして判断を下そうとする。このため両者の議論はかみ合わないことがしばしばあった。

原子力規制庁(規制委の事務方)は5月9日(5回目会合)で、有識者会合がまとめる手はずになっている評価書の原案を示した。そこに書き込まれようとしていたのは敷地内の破砕帯を「耐震上考慮する活断層である」とする結論。1998年に原子力安全委員会(当時)が1号機の建設を認めた際の判断を覆す内容だ。座長の島崎氏も、この方向で議論の集約を促したが、現時点では有識者と東北電力の間だけでなく、有識者の間でも主張が分かれ、報告書はまとまっていない。

下部の地層中の破砕帯が上層の地層をたわませている(東北電力東通原発敷地内のトレンチ)

下部の地層中の破砕帯が上層の地層をたわませている(東北電力東通原発敷地内のトレンチ)

議論の最も大きな争点は、敷地内の比較的新しい地層(8万~10万年前以降)にみられる地形の変化(地層の段差や断裂、たわみ)がどうしてできたかにある。敷地内に掘られたトレンチ(溝)の壁面には、地層の変状がはっきりみられる場所がある。

もともと東通原発の敷地内の基盤となる古い地層には多数の破砕帯(割れ目)があることが、立地審査時からわかっていた。東北電力はこれらの古い破砕帯を500万年前以降動いていない「古傷」とみた。新しい地層の段差などができた原因は古傷が活動したことによるものではないと主張してきた。

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