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五感を超える? 人間の持つ「超越感覚」の正体

日経サイエンス

人間がふだん使いこなしている視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のいわゆる五感。こうした感覚の種類は未発見のものを含め他にたくさんあり、人間はこれらを様々に組み合わせて使っていることが、脳科学の研究からわかってきた。

失った機能をカバーする形で発達

こうした知られざる感覚の正体は、脳の損傷などによって本来の感覚を失った人の研究から得られることが多い。例えば、視力をなくした人が、通常の視覚とは別の経路で対象物を把握する盲視(ブラインドサイト)というものが知られている。

盲視の人々は、光を感じたり、前方の障害物を無意識のうちに避けることができたりする。訓練次第で大きな字をゆっくりとだが「読める」人もいる。こうした人々は、視覚情報が到達する脳の一次視覚野を損傷しているものの、そこを迂回して別の領域で情報処理をしているらしい。

やはり視覚を失った人で、音で対象物を認識する反響定位(エコーロケーション)が使える人もいる。コウモリやイルカが障害物などを避けているのと同じやり方だ。

米カリフォルニア州在住のダニエル・キッシュ氏は、自ら舌打ちをするような音を発してその反響を手がかりに、暗闇でハイキングを楽しんだり、市街地で自転車を乗り回したりしている。彼らの脳の働きを調べたところ、反響音を聞いているときには、聴覚野ではなく視覚野が活性化していることがわかった。

五感も複数感覚の組み合わせが当たり前

最近の研究によれば、よく知られている五感にしても、それらが別々に使われるのではなく、様々に組み合わされて、人間の知覚を成立させている。

相手の感情を読み取るには、第一には相手の顔の表情を見るが、それだけではない。相手の身ぶりや声の調子、全身に漂わせている雰囲気から、総合的に判断している。こうした「統合作用」に対応する脳の領域も確認されている。

五感の中で、匂いを感じる嗅覚は、人間の記憶と特別に強いつながりを持っているようだ。ある匂いを嗅いだ時に突然昔の記憶がありありとよみがえってくる経験はあるだろう。嗅覚を強化することで記憶を強める研究も注目されている。

第六感ではないが、何となく危険を感じたり、視界に入っていないものが見えるような感じがしたりすることがある。こうした人間の持つ不思議な感覚についても、その正体がつきとめられるときが近いのかもしれない。

(詳細は25日発売の日経サイエンス9月号に掲載)

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