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スマホ世界3強時代到来 ソニーが華為と激突

韓国サムスン電子と米アップルが2強を占めるスマートフォン市場で、3位争いが激しさを増している。その座を争う筆頭は、電機事業再生を急ぐソニーと中国の新星、華為技術(ファーウェイ、広東省)。中国・上海でこのほど開いた展示会で両社は2強の背中が見えているぞとばかり、持ち前の技術や製品を世界から集まった通信関連業界の関係者にアピールしていた。ライバル競争の行方はいかに――。

中国で発表会を開いたワケ

携帯電話の世界的業界団体のGSMAが主催する大型展示会「モバイル・アジア・エキスポ」。開幕を翌日に控えた6月25日午後の上海は雷雲が垂れこめていた。展示会の会場近くの高級ホテルには中国人記者や海外から来た記者らが続々と集まってきた。ソニーモバイルコミュニケーションズの新商品発表会に参加するためだ。

ソニーモバイルが中国で大々的な発表会を開くのはこれが初めて。お披露目したのは最上位モデルのスマホ「エクスペリアZウルトラ」である。「ソニーの技術を注ぎ込んだスマホ。スペックは最高だ」。壇上でプレゼンした同社の鈴木国正最高経営責任者(CEO)が胸を張るとおり、サムスンやアップルの製品より高性能なのが売り物だ。フルハイビジョン(HD)映像を表示するスマホとしては世界最大の6.4インチの大画面を採用。ソニーがテレビで培った画像処理技術をふんだんに搭載している。それでいて厚みは6.5ミリ。サムスンのスマホ「ギャラクシー」の現行品などより薄い。

2012年にスウェーデンのエリクソンとの携帯電話合弁を解消し、完全子会社化して新たなスタートを切ったソニーモバイル。今年1月、米ラスベガスの家電見本市で新生ソニーモバイルを象徴するスマホとして発表した「エクスペリアZ」は今や同社の成長をけん引する。ZウルトラはエクスペリアZの上位モデルとなる。

ソニーは2013年度に世界で4200万台のスマホ出荷台数を計画する。前年度より3割弱上積みするが、そのけん引役は中国などの新興国市場だ。中国を攻めきれなければ世界トップ3に入れない。だからこそ発表会の場として中国を選び、Zウルトラを7~9月期に中国市場へ先行投入することを明らかにした。その裏には「世界のスマホ市場でトップ3に入る」という同社の強い決意がある。

発表会では中国移動通信(チャイナモバイル)向けの第4世代(4G)携帯もお披露目した。中国で4Gの商用サービスはまだ始まっていないが、近く本格化する「4G商戦」に名乗りを上げた形だ。

 もっとも、中国には手ごわい相手がいる。華為技術(ファーウェイ)だ。基地局など通信設備を強みにしながら、近年は端末事業も強化。6月18日には英ロンドンで、世界最薄をうたう厚み6.18ミリのスマホ「アセンドP6」を発表し、業界関係者を驚かせた。7月から世界19カ国・地域で発売。欧州市場での価格は449ユーロ(約5万8千円)という。

ファーウェイも世界3位の座狙う

なぜロンドンだったのか。「私たちのデザイン革命の象徴であるP6を発表する場としては、産業革命の発祥地の英国がふさわしい。6.18ミリの厚みをアピールする上でも、6月18日は最適だった」。華為関係者はこう明かす。中国から飛び出し、世界で勝負をかける。そんな意気込みが伝わる。

華為もスマホ市場で世界3位の座を狙っており、ソニーモバイルにとって強敵になりそうだ。しかも、ソニーとは異なる強みがある。基地局などの通信インフラ設備から端末まで一手に供給できる、広いすそ野の製品群を抱える点である。

世界で立ち上がりつつある4Gサービスは、華為の強みを一段と際立たせる可能性がある。4G向け商品部門の邸恒副総裁「4Gは従来の技術との親和性が高いため、2Gや3Gなどの過去の技術資産を生かしながら安くネットワークを構築できる」と語る。

6月26日に上海で開幕したモバイル・アジア・エキスポでは、中東やアフリカなどからと思われる顧客が華為のブースを熱心に見て回っていた。欧米で通商摩擦を引き起こしたことは、結果として華為の知名度を高めた。足元の中国市場のみならず、欧州や東南アジア、中東・アフリカなど幅広い市場で4Gネットワークの構築を請け負い、スマホも売りまくる。通商摩擦にめげない、したたかな戦略図が浮かび上がる。

新興国市場の先兵役として中国重視の姿勢を上海の発表会で見せた日の丸ソニー。一方、世界展開の加速をロンドンの発表会で誓った中国企業の華為。それぞれの「決意」を込めた戦いは、これから「熱い」夏を迎える。

(上海支局 菅原透)

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